2007年1月5日(金)「しんぶん赤旗」
07年 雇用・暮らし守る共同へ
二〇〇六年は、「偽装請負」で働かされていた派遣労働者が直接雇用を勝ち取るなど職場のたたかいが前進しました。〇七年の労働運動の大きな課題と展望は――。
残業代ゼロ制度反対
国民的な運動大きく
最大の焦点は、厚労省が通常国会に法案提出をねらっている労働法制の大改悪に反対し、安心して働くルールの確立をめざすたたかいです。
改悪案の大きな柱は、「ホワイトカラーエグゼンプション」導入です。
一定の年収などがあるホワイトカラーを一日八時間・週四十時間の労働時間規制から外してしまう制度です。労働者を残業代なしで何時間でも働かせることができ、長時間労働とサービス残業を野放しにするものです。
日本経団連が主張する年収四百万円以上の労働者に導入すれば、千十三万人が対象となり、一人あたり百十四万円の残業代が消えてしまいます。
賃金ダウンなど労働条件を切り下げるとき、労働者の合意がなくても使用者が作る「就業規則」で変更できるようにすることもねらっています。労働者のたたかいで確立した雇用のルールを根本から壊すものです。
全労連は「悪法を断固粉砕する」(小田川義和事務局長)、連合は「長時間労働を助長する法改正は認められない」(古賀伸明事務局長)と表明。過労死した労働者の遺族や学者・法律家など幅広い人が反対運動に立ちあがっています。
労働基準法に「解雇自由」と書き込むことがねらわれた〇三年の国会では、国民のたたかいで逆に「解雇権の乱用禁止」を明記させました。労働法制大改悪をやめさせ、安心して働くルールづくりをめざす国民的な共同が焦点になります。
貧困と格差の是正
賃金底上げめざして
大企業がバブル期を上回る利益をあげる一方で国民のなかに貧困と格差が広がり、社会問題になっています。日本経済を健全な発展軌道に乗せていくためにも、大企業のボロもうけを社会的に還元させて、賃上げや安定雇用によって労働者・国民の生活向上をはかることが求められています。
財界側は「生産性の向上の如何(いかん)にかかわらず、賃金水準を底上げするベースアップはありえない」(経労委報告)などと賃金抑えこみをねらっています。
全労連は「だれでも一万円以上、パート時給百円以上の引き上げ」を掲げて、働いても生活保護水準以下の生活しかできない「ワーキングプア」をなくそうと賃金底上げなどに取り組みます。
連合は、低下する労働分配率(付加価値に占める人件費の割合)を逆転させ、「昨年を上回る賃金改善」をめざします。
不安定雇用の拡大に歯止めをかけて安定雇用を増やすとともに、正社員との均等待遇など待遇改善も重要な課題です。
大企業減税の一方で社会保障の切り捨てや庶民増税など国民負担増を許さない国民的運動と結んで、職場や地域からのたたかいが注目されます。
政治の流れ転換
2大選挙で要求前進
いっせい地方選挙、参院選と連続した全国的選挙で、政治の流れを民主的に転換していくことは重要な課題です。
憲法改悪の動きや米軍基地の再編強化、「構造改革」路線にもとづく公共サービスの切り捨てや地方自治体リストラなどから、労働者・国民の生活と安全・安心をまもる政治への転換がいっそう重要になっています。
「九条の会」や憲法を守る署名運動の広がりをはじめ、教育基本法改悪反対のたたかいでも、労働組合の違いを超えて保守層も加わった共同が大きく広がりました。
地方政治では、米軍基地再編強化反対のたたかいをはじめ、公共サービス切り捨てから住民生活を守る新しい共同が全国各地で広がっています。
全労連は、政党支持の自由を尊重しつつ、要求実現と憲法を守る勢力の前進をめざしています。いっせい地方選の首長選挙では、住民・民主勢力と共同して候補者をたててたたかいます。
連合は、民主党を支持し、参院選などで産別出身候補を擁立します。改憲をはじめ、「構造改革」路線を自民・公明と競い合い、多くの自治体で「オール与党」になっている民主党と労働者の矛盾はいっそう深刻にならざるをえません。