2007年1月7日(日)「しんぶん赤旗」
イラク元財務相
米の侵略・占領を批判
【ロンドン=岡崎衆史】イラク移行政府(二〇〇五年四月―〇六年五月)で財務相を務めたアリ・アラウィ氏は英紙インディペンデント五日付に寄稿し、米国による侵略・占領がイラクに惨状を招き、中東全域の政情を不安定化させつつあると警鐘を鳴らしました。
同氏は、状況打開に向け、イラク内政への外国勢力の介入排除を主張するとともに、地域紛争や宗派対立を防止するために、アラブ諸国、イラン、トルコなどが紛争防止のための安全保障問題を協議する体制の構築を呼びかけました。
アラウィ氏は、米国主導のイラク侵略、米占領当局とイラク政府の失政により、「アイデンティティーや権力、正当性を求める生存をかけたたたかいが生み出され、イラクだけでなく、中東の脆弱(ぜいじゃく)な国家体制に影響を与えている」と警告しています。
アラウィ氏は、解決策がイラク国内と中東地域内から生み出されるべきだとし、「善意だとしても、諸外国が中東での歴史的かつ安定的な解決策の条件を押し付けることを許すべきではない」と強調。同時に、侵略後に生じたイスラム教シーア派とクルド人の既得権を認めつつも、旧支配層のイスラム教スンニ派への差別を是正する仕組みが必要だとしました。
アラウィ氏はシーア派で、現在はマリキ・イラク首相の上級顧問。移行政府で財務相を務める前は、イラク統治評議会(〇三年七月―〇四年六月)の任命で通商担当閣僚や国防担当閣僚も務めました。