2007年1月9日(火)「しんぶん赤旗」
06年米原潜の日本寄港
大西洋艦隊所属が増加
太平洋重視の動き鮮明
米海軍攻撃型原子力潜水艦の日本への寄港は二〇〇六年の一年間で十六隻四十七回に上ったことが、寄港地を抱える自治体の集計で分かりました。隻数は〇五年比で同数、回数は一減で、ここ数年、五十回前後の寄港回数を維持しています。
寄港地別では、神奈川県の横須賀基地が十五回(〇五年比二減)、長崎県の佐世保基地が十六回(同一増)、沖縄県うるま市のホワイトビーチが十六回(同増減なし)となっています。
3隻10回に急増
最大の特徴は、米大西洋艦隊所属艦の寄港が急増したことです。〇五年の同艦隊所属艦の寄港は一隻一回だけでしたが、〇六年は三隻十回です。(そのほかは米太平洋艦隊所属のロサンゼルス級原潜)
八月には初めてシーウルフ級原潜シーウルフが横須賀に寄港しました。同級原潜はロサンゼルス級原潜より大型で、速度も速く、魚雷発射管は二倍の八基です。シーウルフは十一月、鹿児島沖を中心に行われた日米共同演習に参加。十二月にはホワイトビーチで特殊部隊の移送とみられる寄港を繰り返しました。
また、大西洋艦隊所属のロサンゼルス級原潜ボイシ、プロビデンスも複数回寄港しました。
米国防総省が〇六年二月に発表した「四年ごとの国防計画見直し」(QDR)では、経済発展の著しい太平洋地域での権益確保を掲げ、「保有潜水艦の60%を太平洋地域に配備する」としています。大西洋艦隊所属艦の寄港増加は、この方針に沿ったものです。
放射能漏れ事故
九月に横須賀に寄港したホノルルの出港時に放射性物質のコバルト58とコバルト60が検出されました。一九六四年に日本政府が米原子力艦船の出港時の調査を開始して以来、これらの物質が検出されたのは初めてです。
日米両政府は米原子力艦船の「安全性」を主張し、原子力空母ジョージ・ワシントンの二〇〇八年横須賀母港化を迫っていますが、この主張の根拠が崩れたことを示すものです。
〇四年に佐世保に接岸した際、火災事故を起こしたラホヤは二年ぶりに同基地に寄港しました。
これらの事例は、繰り返される原潜の寄港が、住民の安全を脅かしていることを、あらためて示しています。
特殊部隊が乗船
一時間未満の寄港は佐世保八回(前年六回)、ホワイトビーチ十三回(同十一回)と増えています。短時間寄港の目的の一つに「人員の移送」が挙げられており、「対テロ」任務などを帯びた特殊部隊の移送などを行っているとみられます。
米海軍ニュース(〇六年一二月四日付)によると、ラホヤは六カ月の航海中、米海軍特殊部隊シールズを乗船させ、特殊作戦の訓練を行っていました。
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