2007年1月10日(水)「しんぶん赤旗」

米民主党指導部 イラク増派反対へ

反戦団体の行動影響

議会前集会・ロビー活動実る


 【ワシントン=鎌塚由美】米議会で多数派となった野党・民主党の指導部は、ブッシュ大統領に増派反対の書簡を送るなどイラク戦争で政府に対抗する姿勢を見せ始めています。議会開会にあわせ、いち早くロビー活動に取り組んだ反戦活動家たちの行動に、重い腰を上げました。


 新議会が開会した四日、議会前の広場では反戦諸団体が米軍の即時撤退とブッシュ大統領弾劾を求める集会を開催しました。反戦団体は、民主党を議会内多数派に押し上げた中間選挙で国民が示したのは、イラクからの撤退の主張だと強調し、議会が戦費を承認すれば米軍撤退は実現しないと訴えています。

 民主党指導部は中間選挙直後、「(大統領)弾劾はない」(ペロシ議員)と公言。新議会で主導権を握ろうと同党が打ち出した「最初の百時間の課題」にもイラク問題はなく、反戦団体は民主党指導部に不満を募らせました。

 イラク戦争で息子を亡くしたシンディ・シーハンさんら「戦死者平和遺族会」のメンバーらは、議会開会前の三日からロビー活動を開始。民主党議員団長となるエマニュエル議員が同日、同党の「売り」として倫理改革案を打ち出した記者会見場に詰めかけ、「戦闘の拡大ではなく、(ウソで始めた戦争を)調査し、兵士を今すぐ帰せ」と唱和しました。

 四日には上院議員会館内のホールに、「われわれは沈黙しない」(反ナチの抵抗運動「白ばら」の合言葉)と書かれた大横断幕がつるされました。ニューヨークを拠点に活動する反戦芸術家グループの活動でした。

 翌五日、民主党指導部はブッシュ大統領への対抗姿勢を示し始めました。ペロシ下院議長とリード上院院内総務が連名でイラクへの軍隊増派に反対する書簡を大統領に送付しました。

 リード院内総務は昨年十二月中旬のテレビインタビューで短期の増派であれば了承すると発言し、反戦団体から抗議を受けました。同氏は二日後に「増派がイラクでの答えになるとは思わない」と声明しました。

 ペロシ議長は七日、テレビインタビューで「無条件に支出を認めるわけにはいかない」と述べ、戦費の承認に抵抗する姿勢を初めて見せました。同議長の地元サンフランシスコではその前日、大統領を「弾劾せよ」との人文字が住民千人によって作られました。

 八日付ワシントン・ポスト紙上でエマニュエル議員団長は、大統領の増派政策は「サージ(一時増派)ではなくエスカレーション(戦闘の拡大)だ」と指摘。中間選挙で「増派は国民の念頭になかった」と述べました。


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