2007年1月17日(水)「しんぶん赤旗」

不当解雇から7年7カ月

ヒルトン側が解決金

労働者 「敗訴」決定押し返す


 賃下げに無条件で同意しなかったとして解雇されたヒルトンホテルの労働者が解雇撤回を求めていた争議で、全労連・全国一般は十六日、厚生労働省で記者会見し、ヒルトン側が解決金を支払うことで東京都労働委員会で九日に和解したと発表しました。この争議では最高裁が不当解雇を認める判決を出しましたが、これに屈せずたたかい、解雇から七年七カ月で解決しました。


 ヒルトン東京(東京・新宿区)は一九九九年、業績低迷を理由に、日雇いながら年間二百日以上、十四年間も働いていた船木龍夫さん(46)ら約百八十人の配膳(はいぜん)人に対し、月額賃金の15%にあたる四万円から六万円の賃下げか、雇い止めか(解雇)を提案してきました。

 船木さんらは賃下げを争う権利は残して同意することを表明しましたが、会社が求める無条件の同意書を提出しなかったのが「不同意と同じだ」とされ、船木さんら労働組合員の十人が同年五月、解雇されました。

 東京地裁は二〇〇二年三月、「このような雇い止めが許されると、使用者は労働条件の不利益変更のやりたい放題となる」と解雇無効の命令。ところが、同年十一月の東京高裁では「雇い止めができないとすると、経営合理化を図ろうとする会社に『酷』だ」と逆転敗訴し、最高裁も〇五年五月、原告側の上告を棄却していました。

 しかし、争議団はクリスマスの座り込みをはじめ、国内外のヒルトンホテルへの要請・宣伝行動を展開。世論と運動を広げるなか、裁判で決着済みとしていたヒルトンは昨年三月、「裁判での判断は出たが紛争は継続している」との認識を示し、交渉を再開していました。

非正規労働者の訴えに共感

記者会見

 記者会見した船木さんは「有期の雇用契約の更新を口実にした賃金の切り下げは許せなかった。非正規労働者とはいえ、この問題を提起し、当初から望んだ労使の話し合いで解決することができて本当によかった」と語りました。

 ヒルトン争議支援共闘会議の中山伸議長(前・東京地評議長)は会見で、「賃下げか解雇かのどちらかを選ばせ、争議の権利も認めない。この七年七カ月は労働者の誇りをかけたたたかいだった」と強調。「非正規労働者の訴えが多くの市民のみなさんに共感を広げ、企業の社会的責任を追及し、最高裁で負けたにもかかわらず解決できた。本当にうれしい」とのべました。


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