2007年1月17日(水)「しんぶん赤旗」

介護予防

職員の受け持ち倍増

半年間 支援センター手いっぱい


 介護保険制度で「要支援」と認定されたお年寄りを対象に、介護予防給付を受けるための「予防プラン」づくりを担う市町村の「地域包括支援センター」でケアマネジャーなどの職員が受け持つ件数が、三月末時点で半年前の二倍に増えることが十六日、厚生労働省の調査をもとにした本紙の推計でわかりました。関係者からは「いまでも、予防プランづくりに追われ、本来の業務に支障が出ている。国は職員の増員など抜本的な見直しこそを急ぐべきだ」との声があがっています。

表

 その推計(表参照)によると、地域包括支援センター職員一人あたりの予防プランの作成件数は、全国平均で、ことし三月末には四十五・七件。昨年九月末時点の二・一倍にのぼります。都道府県別にみると、件数で四十件を超えているところは二十七都道府県あり、最多は徳島県の六十四・五件。増加率では二十九道府県で二倍を超え、佐賀県では五・三倍にもなるとしています。

 全日本民主医療機関連合会介護保険部会の山本淑子さんは、「地域包括支援センターも居宅介護支援事業所も現状で手いっぱいの状態。現状のまま、これ以上、件数が増えたら、プラン作成が間に合わず、必要なサービスを受けられなくなる高齢者が急増しかねません」と心配します。

 ところが、厚労省は今年の四月以降、地域包括支援センターから民間の居宅介護支援事業所に委託できる予防プランの件数を、「ケアマネジャー一人あたり八件まで」に制限しようとしています。

 「すでに、委託を断る居宅介護支援事業所も出ています」。こう指摘するのは、大阪府下の地域包括支援センターの実態に詳しい大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員会の日下部雅喜さんです。「地域包括支援センターの本来の機能は、高齢者が住みなれた街に居続けられるよう、『地域包括ケア』の拠点となることです。しかし、このまま『八件制限』が始まったら、その機能や役割が果たせず、機能不全に陥ってしまいかねない」といいます。

 山本さんは「国は、地域包括支援センターの体制強化と、これを保障する財政措置や予防プランに対する介護報酬の引き上げなど抜本的な改善を急ぐべきです」と話しています。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp