日本共産党の大森猛議員は、十二日の衆院国土交通委員会で、規制緩和によってマンション建て替えを「円滑化」する区分所有法(マンション法)改定案について、法制審議会での事前の審議が拙速であり、審議内容をゆがめて法案化していると批判しました。
現行法では、一部を除き、老朽・損傷などで建物を維持できなくなったときなど「客観的要件」を満たす場合のみ、所有者の五分の四の賛成で建て替えを認めています。改定案では、建て替え「円滑化」のため、「客観的要件」を撤廃、理由・目的を問わず所有者の五分の四の賛成のみで建て替えを認めることにしています。
大森氏は、法案提出の前提となる法制審議会での審議では「要件」撤廃はほとんど議論されなかったと指摘。法務省が百七十団体に求めた意見でも、撤廃を主張したのは建築・不動産関係のわずか三団体で、法曹界からの撤廃要求はなかったことを明らかにしました。
その上で、「法案提出を急いだ背景に、建て替え需要の拡大をめざす不動産業界と自民党・小泉内閣の意向がある」と指摘。数十兆円の市場拡大を見込んで、大手開発業社長が「要件」撤廃を要求していることを紹介。「これでは、居住者を無視したゼネコン、開発業者の野望に、法務省が法の理念もまげて、屈服したといわざるをえない」と批判しました。
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