マンションなどの耐震強度偽装問題で衆院国土交通委員会は三十日、集中審議を開きました。日本共産党の穀田恵二衆院議員は、マンション居住者らの救済における国・自治体の責任を追及、現行の建築確認のあり方の問題点を指摘するとともに、事件の背景にあるコスト削減競争過熱の問題もとりあげました。
穀田氏は「建築確認は民間機関が実施した場合も自治体の事務で、最終的責任は公にある」とのべ、建築確認に瑕疵(かし)があれば行政が責任を問われると指摘。国が先頭に立って、耐震強度偽装が発覚したマンション居住者らの救済に全力をあげるよう求めました。北側一雄国土交通相は「おっしゃった趣旨で検討している」とのべました。
穀田氏は民間の指定検査機関が建築確認をおこなう場合、自治体は簡単な報告を受けるだけという現行建築基準法の不備を示し、改善を要求。北側国交相は「特定行政庁(自治体)と指定検査機関との関係を見直すべきと考える。(自治体に)明確に権限を手当てすべきか議論が必要だ」と見直し方針を示しました。
また、二十九日の参考人質疑で木村建設の元東京支店長が、姉歯建築士だけでなく他の設計事務所にも「鉄筋をもっと減らせ」と指示したとのべたことをあげ、「コスト削減のため『鉄筋を減らせ』との要請が常態化しているのは異常。安全を犠牲にしてはならない」と主張しました。
穀田氏は、「早い」といわれるイーホームズの確認検査の裏にずさんさがあることに気づかず、立ち入り検査しながら問題を見抜けなかった国交省の責任はきわめて大きいと強調。建築確認検査の民間「開放」によって、「手抜き検査の横行」や「良好なまちづくりが困難」など、一九九八年の建築基準法「改正」当時、日本共産党が危ぐした通りの弊害が生まれていると指摘しました。
穀田氏は、(1) 民間検査機関の検査を第三者機関が再度チェックする体制の整備 (2) 行き過ぎたコスト削減競争を推進する建設業界・ハウスメーカーの体質改善 (3) 民間の検査機関に頼らず、自治体による建築確認体制の強化―を検討するよう求めました。