競争下の建築確認が問題 穀田議員指摘
マンションなどの耐震強度偽装問題で衆院国土交通委員会は七日、耐震強度偽装が表面化する一年半前に民間検査機関に偽装を通報したアトラス設計の渡辺朋幸社長らを呼び参考人質疑をおこないました。偽装通報に対し、民間検査機関「日本ERI」の鈴木崇英社長は「偽造ではなく、計算ミスとしてしかとらえられなかった」と検査機関の資格が問われる発言をしました。日本共産党の穀田恵二衆院議員は、「建築確認業務が競争世界であることが最大の問題」と指摘しました。
二人のほかに参考人招致されたのは民間検査機関「イーホームズ」の藤田東吾社長。姉歯秀次一級建築士と、姉歯氏らを“指導”していたとされる経営コンサルタント会社「総合経営研究所」の内河健所長の二人は「体調不良」を理由に欠席しました。
アトラス設計の渡辺氏は偽装を見抜いた経緯について証言。昨年四月には建築確認を出した日本ERIに「姉歯氏の設計はおかしい。これをほかでやっていたら大変なことになる。調べた方がいい、と伝えた」とのべました。
これに対し、日本ERIの鈴木社長は「偽造であると思い至ればよかったが、計算ミスの問題ととらえてしまった。このような組織的計画的犯罪に驚いている」などと釈明。「法的な過失があったとは考えていない」と責任を回避しました。
穀田議員は、「耐震性のない建物であるかを見抜けなかったことが問題。責任は免れない」と厳しく批判。十一月二十九日の同委でのイーホームズ・藤田社長の発言にたいし、鈴木社長が「競争相手である当社に根も葉もない、ひぼうを浴びせて、当社の事業に意図的に打撃を与えようとしている」と批判していることをあげ、建築確認業務が競争世界になっている問題点を指摘しました。
鈴木社長は「現在、全国に約百二十の民間検査機関があり、競争が激しくなっている。厳しい指摘をすると、申請者がよそにいってしまう」と業界の実態を認めました。
穀田氏は「真相解明のポイントは姉歯氏、内河氏、木村建設の木村盛好社長の証人喚問」と強調。各党とも姉歯氏や内河氏らを証人喚問するよう求めました。