築30年で給水管赤水対策 老朽化問題どう考えれば

回答者 マンション管理士 千代崎一夫さん(ハウジングケースワーカー・住まいとまちづくりコープ)

 

 築三十年のマンションです。六十戸ですが、自主管理をしていて維持管理も計画にしているつもりです。今回、給水管の赤水対策をしたいと思っています。どんな方法を取ったらよいか、また費用はいくら程度考えておいたらよいでしょうか。それにマンション全体の寿命はどうなのでしょうか。新聞などでは三十年とか四十年とか法律で決めると聞いていますが。(千葉県・T生)

千代崎 赤水対策の費用は原因と状態に関連します。
 給水管の傷みが少ないならば、ライニングといって管内のサビを落とした上に塗装する方法があります。ライニング工事の場合は戸当たり二十万円ぐらいが多いようです。最近では保証が十年ほどになっています。ただ交換とは違うのです。
 痛みが進んでいれば、更新(交換)しかありません。全面交換のほかに、直管部分は傷まないというデータに基づいて部分的に交換する工法も出てきました。
 専有部の給水管を共用部と同様に考えて全体の費用で更新したマンションもあります。住民全体の合意が得られるなら、そういった進め方も可能です。いずれにしても調査して老朽化の程度を把握した上で工事の方法を考えましょう。
 このように部位ごとに修繕がかなりできます。長持ちさせることと、不衛生・不便なことを我慢することとは違います。快適に使えてこそ長く使おうという思いが大きくなるものです。

――建物全体はどうですか。また長く使うことはよいことと思いますが、けちくさいという声も出てきそうです。どのように考えればいいでしょうか。

千代崎 法制審議会は区分所有法の「改正」案要綱を決定し、法務省は臨時国会に提出するとしています。これは、先に成立した「マンション建て替えに関する円滑化に関する法律」と対をなして「建て替えの合意」「合意後の進展」を図ろうというものです。
 「改正」案要綱では、当初検討されていた建築後、三十年、四十年といった老朽化の基準さえもとりはらわれ、五分の四以上の多数による集会の議決があれば、建て替えが可能としています。これから法案審議に伴って一段と建て替えをめぐっての論議がでてくるでしょう。
 でも私はマンションの寿命が三十年、四十年と決まっているものとは思いません。ましてや老朽化もしていないのに安易に建て替えるなどはもってのほかです。やはり、使う側が専門家の知恵も借りて定期診断、修繕をしながら、長く使うのはよいことなのだという風潮を育てていくことが大切だと思います。
 そのためにも一定の年限を経たマンションを使用している管理組合に対して、維持管理への助成を制度化することが求められます。

(2002年10月16日)



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