築十六年で四階建ての賃貸マンションの二階に十年住んでいます。この間に何回か契約を更新し、現在の契約の期間は来年一月です。ところが、突然、大家の意向を受けた管理会社から配水管や風呂の工事、内装の塗装工事をするため、空いている同じ間取りの三階に移ってほしいといってきました。この場合、どのように返事をすればいいでしょうか。(大阪・E子)
米倉 大家さんの都合で簡単に移ってくれといっても困りますね。配水管や風呂の水漏れもあるのですか。
――ありません。
米倉 内装工事の内容は。
――コンクリートがむきだしなので改装したいといいます。私は入居した時、壁などの汚れがひどかったので壁紙を張ったり、ガステーブルや換気扇を取り替えました。
米倉 あなたは今回の内装に納得しているのですか。
――いいえ、なぜ内装なのかよく分からないのです。
米倉 あなたが借りたのは今の部屋で、どこでもいいという契約ではありませんから、あなたにはその部屋に住み続ける権利があります。改装を理由とした転居の要求に応じる必要はありません。
問題は、長年使っているわけですから配水管などいろんな設備に支障が出てきて、修理が必要なことはあります。その時でも、住みながらできる修理は、住みながら行なえばよいことです。それができない特別の工事なら、一時ほかの所に仮住まいということはあるかもしれません。いずれにしても、ほかの部屋に転居する義務はありません。
なお、仮住まいでの修理もできず、もはや居住継続が不可能だという特別の事情でも生じたなら、契約は終了します。そのような場合の解決策として、別の部屋に移るということならば、あり得るかもしれません。いずれにしてもなぜ工事が必要で、引っ越さなくてはならないのか、聞いてください。
――万一、三階に移ることになったら。
米倉 その場合は、転居しなければならなくなった原因があなたにないのなら、家賃は同じでいいのではないでようか。それに移転の費用やこの間に部屋の修理に要した費用なども払ってもらわなくてはなりません。もし故障が本当に生じていて、その原因が住んでいる人の失敗でなく、自然になったものなら修理は大家の責任です。工事費用も仮住まいの費用も出してもらうことができます。
(2002年10月16日)
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