幅広く修繕など相談にのるマンション管理士とは?
回答者 マンション管理士 千代崎一夫さん(ハウジングケースワーカー・住まいとまちづくりコープ)
建築後二十年のマンションです。二回目の大規模修繕に向けた準備をしている副理事長です。十二階建てで七十戸です。
一回目の教訓を学んでコンサルタントに依頼して工事をしようと思っています。いくつかのコンサルタント事務所を訪ねてみましたが、建築設計の事務所だけなのでどうも工事の話にしかなりません。
費用の問題や管理組合の合意をつくっていくことなどについて、もう少し幅広く相談にのってもらいたいと思っています。マンション管理士という制度ができたそうですが、相談にはのってもらえますか。(千葉県・K生)
千代崎 最近の不況の影響を受けてマンションの大規模修繕工事には、いままでコンサルタントをしたことのない設計事務所が進出しています。
新築とは違い、建物の老朽化の状態を見抜いた上で必要な工事を設定していくので、新築だけの技術では不足です。
また多数の区分所有者の合意を形成していくのは、なかなか大変な作業で、ここにも経験とノウハウが必要です。ノウハウといっても単に技術的なことだけではなく、集合住宅に住む人たちの立場で気持ちよく住み続けられるように、考えることが必要です。
さまざまな考えの人の思いをバランスよく考えられる柔軟性もコンサルタントには求められます。
マンション管理士は幅広い知識で管理組合の立場でのアドバイザーというのが基本的な役割です。
――では、そうした相談をするには、マンション管理士が適切ということですか。
千代崎 そう思います。しかし、的確なアドバイスができるマンション管理士の方はまだ少ないのが実情です。
マンション内のさまざまな問題は、通常は?住民同士で解決する、?管理組合の理事やその組織である理事会で解決する、?それぞれの専門家に相談して解決する、という段階があります。
マンション管理士の役割は?と?の間にいて、スポット的な委託、工事のためのような中期的な委託、顧問的な長期的、継続的な委託を受ける「幅広い知識と経験をもつ人」といえると思います。
マンション管理士が実際のアドバイスをするには、居住者としての体験、組合運営の経験や、さらに「高い専門性」を学ぶ姿勢なども求められます。
あなたの管理組合の場合は、前述のような条件を整え、工事のコンサルタント経験を持つマンション管理士に相談するのが一番よいと思います。
(「しんぶん赤旗」2003年1月15日)
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