引っ越しで家主は多額の原状回復費求めてきたが回答者 弁護士 高畑拓さん(東京合同法律事務所) 三年住んだ賃貸マンションから中古住宅に引っ越しすることになりました。敷金は三十万円でしたので、返還されるものと思っていました。ところが家主から原状回復費用として三十六万円を請求されてしまいました。この請求に応じなければならないのでしょうか。(埼玉県・E生) 高畑 賃貸契約書の記載はどのように? ――契約書には「畳や内壁などの修理費は借り主が負担する」と記載されています。 高畑 あなたが入居した時には、畳などは新品でしたか。 ――入居した時、築五年のマンションということで、部屋は割合きれいな状態でした。畳もきれいでしたが、今回調べてみたところ畳表を裏返していたことが分かりました。内壁のクロスは新しいものでした。 高畑 ふすまや障子は。 ――ふすまは新しくはなかったのですが、障子は新しいものでした。 高畑 原状回復費用として請求されている項目には何が入っているのですか。 ――畳、内壁、ふすま、障子はすべて新しくするものとして、計算されています。 高畑 引っ越しの予定はいつごろですか。 ――一週間後には引っ越す予定で、家主に事前に見てもらったのです。そうしたところ、敷金は返さない上に足りない分を請求するといわれてしまったのです。 高畑 大変ですね。まず、「修理費」を支払うと約束しているに過ぎないわけですから、自然損耗分・経年変化分は支払う義務はありません。 ――子どもが内壁の一部に落書きをしてしまったのですが。 高畑 それは自然に汚れたとは言えませんので、負担せざるを得ないですね。 ――すると、この話の決着がつくまで引っ越しはできないのでしょうか。 高畑 いいえ、一応落書きによる損害分を差し引いた敷金の返金を家主に対して請求してみてください。それで話がつかなければ、引っ越しても差し支えありません。 (「しんぶん赤旗」2003年3月19日) |