築33年公団の公園が陥没/応急処置したが今後が心配

回答者 一級建築士 新井啓一さん(生活建築研究所)


 築三十三年の公団分譲の団地型住宅に住んでいますが、地盤沈下の問題が起きています。団地は二つの街区に分かれ、一つの街区の方が入居当時、地盤の問題からか、六メートルくいを打ち込んでいました。一昨年、その地域の公園で陥没事故が起きたのです。管理組は応急処置をしたということで済ませていますが心配です。どうすればよいですか。(東京都・K生)

新井 陥没の程度と管理組合の説明は。

――広さは一六五平方メートルで、改良した深さは三メートルだといいます。管理組合は、団地造成時に陥没個所がゴミ捨て場だったこと、それに給水管の漏水事故が重なったのが原因だという話でした。周辺地域ではこれまでもゴミ集積ボックスやマンホールの陥没、自転車置き場の傾斜などの問題があったようです。

新井 周辺地域の現象はいつごろから?

――この十数年間です。一九七九年に瑕疵(かし)担保期間の最終点検を行ないました。この時は犬走りが波打っているところはありましたが、ゴミ集積ボックスやマンホールに問題はありませんでした。
 ところがこの間、管理組合が全然手を打たなかったので進んでしまいました。今回、共用地の問題として取り組まないと、建物にも影響が出るのではないかと心配しています。

新井 それなら管理組合にきちんと問題を提起して理事会で検討し、対応しないと解決しませんよ。

――そうですね。

新井 基本財産上の瑕疵と安全上の問題もあるわけです。すでに応急処置は済んだそうなので、今後は陥没原因と結果責任の所在の究明が求められます。

――公団は瑕疵担保期間を過ぎ責任を負えないといいます。

新井 法的には難しいですが、公団に瑕疵責任があります。管理組合はその点を問いながら、公団に協力を申し入れ、管理組合と合同で対応できるようにするとよいでしょう。

――陥没した地盤の状態を簡単に調べる方法はないのですか。

新井 地盤のゴミの種類とか、応急処置の内容は?

――給水管の修復と合わせて、その周辺のゴミを取り除き土を入れたという説明でした。建築廃材が多かったといいます。

新井 地盤調査にはスウェーデン式サウディングという簡便な探査方式があります。これは粘性土に適した方法でコンクリート塊などの障害物が多い時は不向きです。
 そのため調査は通常のボーリングをすることになります。合わせて土中の異物の分布状況を調べる電気式(電流を通してその抵抗値を読む方法)による探査も考えられます。
 原因の特定ができた時点で再発防止を考えた修復工法を検討して、工事の保証内容も含めて管理組合で承認し、実行する流れになります。その後の維持・補修の中身の確認も大切です。

(「しんぶん赤旗」2003年3月19日)



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