修繕積立基金払う契約を不動産業者が守らない時回答者 弁護士・中村宏さん 私は昨年10月、売れ残った築半年のマンション1戸を不動産業者から購入しました。契約の際、不動産業者は販売代金の中から修繕積立基金と管理費3カ月分はマンションを値引きする代わりに負担して、管理組合に払うと約束しました。しかし7カ月たっても支払ってくれません。売れ残りを買った4人も同じ目に遭っています。(千葉県・E子) 中村 最初の分譲主はどうなのですか。 ──最初に売り出した分譲主は倒産しましたが、きちんと払ったそうです。倒産した会社を引き継いだのが、私が購入した不動産業者です。そこが支払ってくれないのです。 中村 新築を購入した場合は、通常最初に修繕積立基金を払いますが、あなたは払ったのですか。 ──修繕積立基金と管理費3カ月分は、値引きする代わりとして不動産業者が支払うと契約書にあります。 中村 すると、それは契約上、不動産業者が負担しなければならないものですね。 ──修繕積立基金が11万2900円、管理費3カ月分が4万2270円で合計15万5170円になります。 中村 不動産業者が払わない理由は。 ──私のマンションは自主管理の組合で、そこに売買契約書のコピーも提出しています。組合に頼んで不動産業者と電話で交渉してもらいましたが、相手が取り合ってくれません。それで私が東京都内の本社に数回出掛けましたが、「契約を担当した社員が退社した」「お金がどこにいったか分からない」などと言います。 中村 お金がどこにいったかはあなたに関係ありません。契約に基づいて直接不動産業者が払わなければならないものです。 ──はい。 中村 宅建業の監督官庁である都道府県または国土交通省に、契約と違うことをやっているから行政指導するように求めるのです。この行政指導に従わないと、場合によれば営業停止になります。 ──約78万円です。 中村 簡易裁判所は140万円以下の事件を扱いますから、契約書を証拠に出し、裁判で直接支払いを要求した方がいいでしょう。早くしないと将来不動産業者が倒産することも考えられますから。 (「しんぶん赤旗」2004年05月19日) |