標準管理規約はどの程度踏まえる必要ありますか

回答者 弁護士 山下基之さん


質問 築20年で40戸のマンションです。今の管理規約は入居時のままのものなので、今度、見直すことになりました。国土交通省が「マンション標準管理規約」を出していますが、これはどの程度踏まえる必要があるのでしょうか。(東京都・S子)

山下 マンション標準管理規約は、各マンションの実態に即して管理規約を作ったり変更したりする際の参考として国土交通省が2004年1月に行政や関係団体に通知したものです。あくまでも参考であり、各マンションによって独自性を出すことは可能です。

――標準管理規約より基準が下がってはダメと聞いたことがあるのですが。

山下 マンションなどの区分所有建物の権利関係や管理運営は、法律としては「建物の区分所有等に関する法律」(区分所有法)でその基本原則が定められています。基本原則についてはこの区分所有法の規定が適用されます。例えば、区分所有者の議決権の4分の3以上の賛成が必要な特別決議事項(規約の設定、変更、廃止もそうです)を、過半数の賛成でよいとすることはできません。

 標準管理規約も基本原則については区分所有法を踏まえているので、質問のような言い方がされているのだと思います。

 しかし一方、「管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項」などについては区分所有法に反しない限り、独自に手続きを緩やかにしたり、厳しくしたりできるのです。

 何か具体的にここを変えたいということがあるのですか。

――専有部分の修繕についてです。うちのマンションの規約では何も規定がありません。標準管理規約ではどうなっていますか。

山下 第17条で「区分所有者は、その専有部分について修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替えを行おうとするときは、あらかじめ、理事長にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない」となっています。

――やはり新たに規定を作らないといけないのでしょうか。

山下 この規定は義務ではありません。しかし、仮に一人の住民がじゅうたんをフローリングに変えるとなると、下の階への騒音問題が出てきます。勝手にリフォームして後でトラブルになったら大変なのでルールができているのです。専有部分の修繕は共用部分への影響も考えられるので、理事会への届け出でよいなど、あなたのマンションの実情に即して考えてはどうでしょうか。

――管理組合の総会への出席資格も問題になっています。賃借人など、区分所有者以外の人も出席して発言させてほしいという要望が出ているのですが。

山下 出席して意見をのべることができると規約を変えることはできます。しかし、議決の人数に入れることはできないので注意してください。

(「しんぶん赤旗」2004年12月15日)



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