新築に入居してまだ2年次々と出る欠陥にどう対処

回答者 弁護士 高畑拓さん(東京合同法律事務所)


 

 都内にある七十戸のマンションの居住者です。一昨年四月に新築マンションに入居して、もう少しで二年経ちます。最近、水漏れ問題や異常な結露の問題が出てきたので、管理組合で居住者にアンケートを採ったところ、いろいろ問題が出てきました。どのように対処したらよいでしょうか。(東京都・W生)


 高畑水漏れ問題というのは、具体的にはどういうことですか。
 ――ある住戸の台所の天井から漏水したのです。

 高畑築後二年も経たないのにひどいですね。原因は判明したのですか。
 ――売り主、施工業者、管理会社で調査しましたが、結局その部屋の上の階の浴室の配管に問題があるということでした。ただ、個人的にはこのマンションの構造的欠陥の問題ではないかと思っています。

 高畑それは何か具体的な理由があるのですか。
 ――あくまで推測です。しかし、ほかの部屋でも異常な結露や水たまりが見られるなど、このマンションはどこかに雨漏りをしている部分や断熱材の誤使用による部分などがあるのではないかと思います。

 高畑建築士など専門家に調査してもらい、原因をハッキリさせる必要がありますね。
 アンケートでほかに出ている問題は。
 ――クローゼット内や部屋全体の湿気、天井・台所のカビ、タイルの破損や目地が取れてしまっている、トイレの下のパッキングがはずれた、さらにはフローリングがボコボコする感じなどです。
 どのように請求していけばいいでしょうか。

 高畑まず「隠れた瑕疵(かし)」にあたれば、民法により損害賠償請求ができます。「隠れた」とは「取引において通常要求される注意を用いても発見されない」という意味です。
 ただし、この請求は買い主が事実を知った時から一年以内に行使しなければなりません。そして、この期間については、契約では普通引き渡しから二年とされている例が多いようです。
 また、これとは別に各項目により保証期間を定め、保証期間内に瑕疵が発生した場合は、無償で補修するという契約がなされている場合が最近では普通です。
 これはアフターサービスと呼ばれていて、例えばある保証書によると、屋上・屋根の雨漏りは建物完成後十年、排水不良は引き渡し後二年、電気の配線・給水管・ガス配管は二年、浴室設備の作動不良などは一年というような基準が書かれています。このような保証書はありますか。
 ――あると思います。いまお話の引き渡し後二年とは、住民票を移動した日のことなのでしょうか。

 高畑実際に住んだ日です。このように期間制限がありますので、疑問のあるところにはできるだけ広範囲に請求しておくべきだと思います。
 ――私のマンションは全員が引き渡しを受けてから一年半は経過しています。保証書で一年とされているものはあきらめるしかないのでしょうか。

 高畑あきらめずにまず請求しておくべきです。詳しく調べなければ、本当に一年の期間制限の適用がある瑕疵なのか、それとももっと重大で二年なのか、ハッキリしないのが普通です。
 もし構造的な欠陥であれば、居住者・管理組合が売り主らと交渉して保証期間にかかわらず保証させたり、今後は保証期間を延長して無償で修理するよう約束を取りつけることなどに取り組む必要があります。
 マンション問題は一室で起こった瑕疵はほかの部屋でも起こる可能性が高いものです。マンション住民それぞれがほかの人の問題も自分の問題として考え、みんなで粘り強く交渉することが大切ですので、ぜひがんばってください。


(2001年03月14日)



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