七階建てで百戸のマンションで、エレベーターが二台ある築二十年のマンションです。いま防犯について理事会で話題になり、防犯用テレビを設置しようと検討しています。しかし、プライバシーのこともあるので無条件には賛成できないのですが。(埼玉県・F子)
千代崎 モニターテレビを取り付ける場所は。
――入り口とエレベーターです。
千代崎 モニターテレビを管理員が見る場所がある場合はやむを得ないと思います。
――それはいいのですが、モニターのテープをどう処理するかです。プライバシーの問題もありますので。
千代崎 その記録したテープは、管理組合の理事会が封印して保管します。公開は管理員ではなく、理事会の権限にしておき、公開のルールを作ればいいのです。何か事件が起こって見る必要があっても、理事会の承認をもとに公開することにしておけばいいと思います。
エレベーターに関しては、カメラを取り付けることのほかに、窓付きのドアと交換する、内部に鏡を取り付ける、深夜は全各階停止にする、屋上階には内部ボタンでは上がれないようにするなどの方法があります。
今までの例では、空き巣は、旅行や入院で数日部屋を空けている時、明かりのつかない部屋とカーテンが動かない部屋を狙っていることも多いので、気をつけることです。
――そのほか防犯で考えられることは。
千代崎 基本的な考え方は、機械で管理するのが一番安上がりで、人が管理するのがその次です。
オートロックでもないし、管理人もいないのに、火事も犯罪も起こらないのが最高級だということです。
テリトリー(領域)論という考え方があります。自分の領域とでもいいますか、それをプライベート空間と呼び、半プライベート、半パブリック、パブリック空間と公共性が強くなっていきます。
自分の住居のドアの前に人が立っていれば「何の用ですか」とだれでも聞きます。これは半パブリックといえます。
廊下はパブリックなスペースになります。
こういった考えを使いながら、行き止まりの場所を作るなどして、自由に入れる場所、特定の人しか入れない場所を作って、自然に防犯を考えます。
こうしてピッキング行為や不審な人物が出入りする際、居住者に見られているという雰囲気づくりに工夫が必要です。
(2001年06月20日)
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