マンション管理組合の役員をしていますが、九月ごろから管理会社のマンションの担当者が変わりました。その後、「管理業務主任者」という人がきました。
マンション法が変わり、「マンション管理士」の資格を取るために十万人が受験するというニュースをテレビでやっていたり、いま本屋には受験のための参考書が積み上げられています。
いったい管理業務主任者とマンション管理士はどのように違うのでしょうか。(東京都・R生)
千代崎 昨年二〇〇〇年十二月八日に成立し、二〇〇一年の八月一日に施行になった「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」では、「マンション管理士」と「管理業務主任者」の資格が定められました。
この法律では、「マンション管理士」のことを「専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等またはマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務とする者をいう」と定義しています。
その仕事は管理組合に対するアドバイザーとしての役割を担うというものです。
もう一つの資格の「管理業務主任者」の仕事は、管理業者の一員として、管理に欠くことのできないもので、マンション管理業者の事務所ごとに一定数を置かなければならないと義務付けられています。
――住民の側と管理会社の側との、それぞれの仕事をするのですね。
千代崎 そうです。この二つの資格はかなり共通の知識が求められています。その内容を(1)から(4)にまとめてみました。
(1)マンションの管理に関する法令および実務に関すること。
(2)管理組合の運営の円滑化に関すること。
(3)マンションの建物および付属施設の形質および構造に関すること。
(4)マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関すること。
ではマンション管理士の具体的仕事ですが、それは次のようになります。
(1)居住のルールや管理組合の運営をめぐるトラブルなどが発生した場合。
(2)十分に機能していない管理組合の活性化を図ろうとする場合。
(3)区分所有者の要望にこたえ、規約やルールを見直そうとする場合。
(4)長期修繕計画や修繕積立金などについて企画、見直しなどをしようとする場合。
これまであげた中には、マンションで起こる様々な問題がほとんど出ています。
新しくできた二つの資格が期待通りの業務をすれば、マンション住民側にはマンション管理士がついて助言し、管理会社側には管理業務主任者がいて、幅広い知識と法律に基づく業務を推進していく形ができあがります。
この仕組みを充実させながら育てていくのは、マンション住民であり、国民全体の力です。
(2001年12月19日)
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