昨年八月に入居した新築マンションですが、十月ごろから隣戸のテレビの音やゲームの音などがまるで糸電話のように聞こえてきて、トイレの換気扇や洗面所の引き戸の音なども漏れてきます。管理組合に相談したら、「テレビの音などに注意するように」とビラを各戸に配布してくれましたが、効果がありません。どうしたらよいでしょうか。
(東京都・R子)
三浦 よその住戸はどんな具合ですか。
――ほかの住戸からも苦情が出ているようです。その後、販売会社と建設会社が調べに来て、コンクリートは二十センチあるので問題はないと言っていました。
三浦 だけど実際に問題は続いているのでしょう。隣戸の間取りは分かりますか。
――接している部屋はリビングになっているようです。この二月になって売り主が、隣戸にテレビの下に敷く防音シートを置いてきたそうですが、効果はありません。
リフォーム会社の人が、壁に防音シートを施工する見積書を持ってきましたが、自分の側から特別に防音をしなければならないとも思えません。
三浦 壁の仕上げは何ですか。たたいてみると、どんな音がしますか。
――普通のクロス(壁紙)で、たたいてみると薄っぺらな、がらんどうのような音がします。
三浦 販売パンフレットには、壁の下地についてどのように?
――石こうボード十二・五ミリとなっています。
三浦 乾いた空洞音だとGL工法といって、団子状の接着材で張り付けている可能性があります。
――そうすると、どうなるのでしょうか。
三浦 隣戸が居間で同じ仕上げとすれば、コンクリート壁の厚さが二十センチでも、太鼓現象で音はつつ抜けになります。これは随分以前に解明されたことで、特に二百五十ヘルツと二千ヘルツ付近で、音の透過が起こります。低音と高音の遮音性能に欠損が出て、よく聞こえることになるのです。
――解明されているのに、どうしてそんなことをするのですか。
三浦 知らずにやったとは思えないほど常識的なことですが、施工が楽なのとコスト的に安いからでしょう。
これは隣戸の「使い方」の問題でなく、建築上の欠陥と言えますから、あなたと隣戸の間の話としてしまわずに、マンション全体で取り組む必要があります。売り主に改善を求めたらよいでしょう。理事長にも力になってもらうことです。
(2002年05月15日)
|