築二年の九十九戸のマンションで、五十五台分の駐車場があります。いま管理組合に対して、利用者から周辺の駐車場の相場に比べて高すぎるので料金を下げろという声が出ています。管理組合には、過半数で規約は変えることができるという条項があります。次回の総会を規約通り運営した場合には、どう討論しても多数決で押し切られてしまいますが。(千葉県・J生)
中村 規約改正は四分の三の賛成でないと改正できません。
あなたのいう規約は、駐車場についての使用細則のことですか。その使用細則で、料金が決まっているのですか。
――そうです。
中村 使用細則ですと、過半数で通ることになりますね。
――すると五十五台分の人が全員賛成すると、値下げ決議が通ってしまいます。
中村 現在の料金と周辺の相場は?
――料金は一万二千円で、相場は七千円から八千円です。
中村 それをいくらに下げようと。
――千円下げろと。場所は駅から三分で、駐車場は地下一階、二階に機械式のものを作っています。車を持っている人には周辺相場に比べて高くて不公平な感じがするのです。
中村 減価償却と将来の費用負担のこと、そして利便性を考えれば、少し高くても仕方がないですね。
ただ大幅にそれを下げて、たとえば半分とか四分の一とかにしたとなると、ほかの人の権利を害するという理屈も出てきます。
千円下げるのであれば、それは多数決できめていいということになるでしょう。
――全体の修繕費に回る分が年間で六十万円ほど下がり、その結果、車を持っていない人の負担分が増えます。マンションに入居した人はそれを了解してきたはずです。
中村 確かに売買契約書の段階で、これは修繕積立金に回すとみなさんが了解して入居しています。でも、料金を変えて年間六十万円ということは全体の予算規模からすると、割合的には小さいでしょう。
――はい。
中村 そうすると、予算を決める時に、ある程度は多数決で決めていかざるを得ないことになると思います。
ただ多数決で決めるといっても、駐車場を持っている五十五軒みんなが賛成するとは思えません。将来の自分たちのために貯金をするわけですから、車を持っているから賛成、車を持っていないから反対という単純な構図ではないのではないでしょうか。
(2002年08月21日)
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