外壁修繕後も雨漏り続く 施工会社は保障応じない

回答者 マンション管理士 千代崎一夫さん(ハウジングケースワーカー・住まいとまちづくりコープ)


 

 私が住むマンションは、築二十三年の七階建て三十戸で自主管理をしています。建物の維持管理については、計画的に行っているつもりです。
 昨年十月に外壁の修繕工事を行いましたが、天井の隅から雨漏りがしているという苦情が出て、外壁の修繕をした会社に申し出ました。ところが、会社の方は保証の範囲でないといって取り合ってくれません。どうしたらいいでしょうか。
 このお宅は、前から大雨が降ると漏れるときもあったということで、組合にも申し出ていたのですが。
 (埼玉県・K生)


 千代崎 一年も経たないのに雨漏りでは困りますね。工事の範囲はどうなっていましたか。工事内容を決めるときには、施工会社が自ら点検するほか、管理組合や居住者からアンケートや聞き取り調査をすることが多いのですが、どうでしたか。
 ――屋上とベランダの防水と外壁の塗り替えです。外壁は塗り替えだけなので、雨漏り防止は工事の範囲でないといっています。聞き取りやアンケートはやりませんでした。

 千代崎 外壁の塗り替えというのは、しっかりした下地補修と新しい塗膜を形成するのが工事のはずです。
 まずは契約書や見積書の内容を見て、そういった項目がないのかどうかをチェックしてください。はっきりと分かるような項目が見つかれば、理事会などで交渉をすればよいと思います。
 施工会社への信頼が別な形で保証されていればいいのですが、基本的には契約の内容が重要です。書面でそこまで記載されていない場合には、マンション管理士や建築士、弁護士などの専門家の助けを借りて体制をつくって話し合いを進めて行くことが必要だと思います。
 施工した会社はどんな所でしょうか。こうした工事の経験があるということでしたか。
 ――一部上場のシャッター会社のリフォーム部門です。地元に本社があります。大きな会社なので、特に経験は気にしませんでした。

 千代崎 リフォーム専門の会社は一戸建てやマンションの専有部分の仕事を主にしています。マンションの共用部分の修繕工事を、住民全体と協議をしながら進めるという業務に進出していることは聞いていません。経験は少ないのではないでしょうか。
 なぜかというと、足場を掛けてまでの工事ですので、慎重に検討する必要があります。そのときにアンケート等は必要なもので、それをやらなかったとすれば工事規格はかなりずさんです。
 自主管理なら、なおさら今度のことだけでなく、信頼できる専門家の力を継続的に借りる必要があると思います。


( 2002年08月21日)



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