総戸数四十戸のマンションの理事をしています。三年くらい前から管理費と積立金を滞納している人(Aさん)がいました。半年前にその部屋を競売で落札したB社は当月分までの管理費、積立金を払っていますが、滞納分は払っていません。最近、その部屋に別の人(Cさん)が引っ越してきました。誰に滞納分を請求していいのか分からなくて困っています。(大阪府・G子)
横松 Cさんは、B社から部屋を買ったのか、賃借しているだけなのか分かりますか。
――まだ登記簿謄本もとっていないのでよく分かりません。
横松 CさんがB社から買った人かどうかで対処の仕方が違ってきます。Cさんが買い受けた新所有者だとすると、区分所有法の規定により、滞納分はAさんとCさんの両方に請求できます。AさんとCさんは連帯責任の関係になります。
――B社には請求できないのですか。
横松 この場合、中間の取得者であるB社には請求できません。区分所有法が新しい所有者との連帯責任を認めた理由は、管理費などの費用の支払いは区分所有権の価値の中に形を変えて織り込まれているという考え方に基づいています。すでに区分所有権を売り渡して所有者でなくなった者には、連帯責任を認める根拠が失われていることになります。
――Cさんが賃借人にすぎないときは。
横松 AさんとB社の連帯責任です。
――B社は管理費などの滞納があるとは聞いていなかったと言って払う意思がなさそうだったので、それ以上理事長は強く言えず、そのままになってしまっていました。
横松 管理費などの滞納の有無は、競売記録に記されています。入札する人は物件の明細が書かれた書類を見て買うのが普通です。滞納分は買い受け人が引き継ぐので、入札の基準となる最低売却価格を決めるときに、その分が引かれているのが通常ですから、全く知らないということは考えにくいのです。
また、仮に滞納分の記載がなかったとしても、連帯責任を免れる理由にはなりません。
――分かりました。今後このようなケースがまた起きた場合、注意する点は。
横松 競売になることが分かったら、売却されるのを待つだけでなく、管理費などの債権についても、配当要求という手続きをしたり、滞納分の正確な金額についての上申書を出すなどすることが必要です。
(2002年09月18日)
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