二百六十人が参加して三日間にわたって開かれた新建築家技術者集団(新建)の全国研究集会。新建は商業主義、芸術主義の建築家が主流を占めるなかで「生活派」と呼ばれる住まい手主体の家づくりを掲げて三十年前に発足しました。
テーマは「人びとの協同でつくる育む生活空間」。市民と専門家が共同でとりくんだ住まいづくり、まちづくりの事例が数多く発表されました。
教師仲間で「退職後は子どもたちに頼らずに仲間と田舎暮らしを楽しみたい」とコーポラティブ住宅(共同して土地を購入し建設した集合住宅)を作った例(東京・象地域設計)などさまざまな住まいの形が広がっています。
コーポラティブ住宅の中に痴ほう性高齢者のグループホームを入居させた例を発表したのは京都市の企業組合もえぎ設計(京都市)。「グループホームの老人と居住者の関係はきわめて良好。着工前に近隣住民から建設反対運動がおこったが、念入りに説明してオープンにこぎつけた。不快感を抱いていた人は五カ月で四〇%から一一%に減少した」といいます。
高齢者や障害者のために住宅改善を支援するネットワークの関係者も多数出席。加瀬沢文芳さん(千葉・「住まいと福祉の会」)は「どんな小さな改造でも快く引き受ける設計者・施工者が求められている」と語り、出席者は介護保険実施後の住宅改善制度について情報を交換しあいました。
東京・山谷のボランティア組織と共同でホームレスの人々の自立支援型グループホームを開設した新建東京支部山谷プロジェクトチームのとりくみも、都市居住者が人間らしく生きられるまちづくりの実践例として注目を集めました。
新建の常任幹事でもある竹山清明京都府立大学人間環境学部教授は「生活本位の建築まちづくり活動を前進させるためには専門家の水準の向上と人々とのつながりの強化が欠かせない」。豊かな住環境実現のためには建築家と市民の共同がカギと強調しました。
問い合わせTEL03(5351)2166
しんぶん赤旗
|