みどり ちょっと、聞いた? 隣のマンションに空き巣が入ったのよ。それも二日連続。被害に遭ったのは四十軒のうち半分近くだってよ。簡単にカギをあけ... 陽子 聞いたわよ。ピッキング泥棒だって。
みどり 特殊な工具をカギ穴に差し込んで簡単にカギをあけてしまうというものね。警察もチラシで注意を呼びかけていたわ。
陽子 ベテランになると、わずか数秒でカギをあけてしまうらしいわよ。カギを壊さないから、空き巣に入られたことがわかりにくいんですって。中にはカギをしめ直して出て行く泥棒もいると聞いたわ。
みどり だから、被害が広がっているんだ。
陽子 そうなのよ。四年前に比べるとピッキングによる空き巣は百倍近く増えているらしいわ。いまでは空き巣の主役。ねらわれるのはマンションや集合住宅なのよ。
みどり でも、同じマンションに軒なみ泥棒に入るって今までだったら考えられないわね。
陽子 そこが、ピッキング泥棒の特徴の一つなの。実は、マンションのカギはほとんど同じタイプのカギなのよ。日本のカギ業者が少ないせいもあって、カギの種類がワンパターン化していたというわけ。
みどり 日本のカギ事情の盲点をつかれたというわけか。中国人などの外国人のかかわりも報道されていたけど。どうすれば防げる? 陽子 犯罪も国際化しているということかしら。窃盗団をつくって、集団で空き巣をやっているのも特徴だというわ。ピッキングを教える学校みたいなものもあるんだって。
みどり 驚いちゃうわね。でもカギをかけても泥棒にらくらく入られるというのは怖いわ。
陽子 でもピッキング対策はそんなに難しいことではないの。防犯性能の高い錠前に替えるか、一つのドアに二つのカギをつけること。すぐにできることよ。
みどり それに警察にも頑張ってもらわないと。泥棒などの検挙率も九六年に比べ半分くらいになっているんだから。気を引き締めて犯罪を取り締まってほしいわ。
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