晴男 うちの課のヤマダ君が家を買うんだって。
秋平 へー、そうか。バブル当時と比べるとかなり値段も下がったから、買い時と判断したのかな。
晴男 新築で三千万円台らしいが、本人は「これから月給が上がる見込みは薄いし、ローンの払いが大変だ」と言ってたよ。
秋平 だろうね。ぼくも住宅金融公庫と民間の銀行と両方から借りているんだが、毎月約十万円が返済額で、ほぼ半分が利息さ。比較的低金利で
晴男 マイホームとはいえ、銀行などの金融機関が家主になっているようなもんだね。ところで、住宅購入の際重宝がられている住宅金融公庫の存廃が問題になっているね。
秋平 特殊法人の「見直し」だろう。
晴男 そう。住宅雑誌が行った利用者調査でも、住宅公庫は存続した方がよい、と答えた人が77・7%に達している。
秋平 やはりそうか。長期ローンを比較的低い固定金利で借りられる。その点、銀行だと三年で2・25%、十年で3・50%だが、その後は相場でどうなるか不透明だし...。
晴男 いまは、超低金利時代だから住宅ローンの金利も短期だと民間の方が公庫より安いが、将来はどうなるか分からない。だから、リスクが少ないのを選ぶのは借りる側の心理だろうね。
秋平 そうだね。かつては、民間の金利に対し、公庫がその二分の一程度だったからね。
晴男 分譲マンション購入者の81%が公庫融資を利用しているという調査結果を見ても、これを廃止するとなると、これから住宅を購入しようと考える層には、影響は大きい。もうけは銀行に
秋平 政府のご都合主義にもあきれるね。有利な融資やマンション減税などを導入して、さあ家を買いなさいと購入意欲をあおっておいて、今度は公庫のあり方の「見直し」だ。
晴男 小泉内閣の考えている郵政三事業、住宅金融公庫などは、民間企業のじゃまだからやめる。そして銀行の利益を増やそうというのがねらいだろう。
秋平 国民には"痛み"を、銀行にはもうけを―が「小泉改革」の本音ってわけだね。
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