日本共産党 

2001年5月10日(木)「しんぶん赤旗」

 ユネスコの学習権宣言とは?


 〈問い〉 ユネスコが学習権宣言を採択しているそうですが、どういうものなのですか。(福岡・一読者)

 〈答え〉 一九八五年の第四回ユネスコ(国連教育科学文化機関)国際成人教育会議で採択された宣言を「ユネスコ学習権宣言」といいます。これは万人に共通する基本的権利としての学習権を定義したものです。

 特徴の一つは、学習権とは何かを明示していることです。宣言は、「学習権とは、読み書きの権利であり、問い続け、深く考える権利であり、想像し、創造する権利であり、自分自身の世界を読みとり、歴史をつづる権利であり、あらゆる教育の手だてを得る権利であり、個人的・集団的力量を発達させる権利である」としています。そして学習権は「人間の生存にとって不可欠な手段である」として、貧困や戦争の克服、健康な生活、産業の発達等にとって不可欠であることを記しています。

 特徴の二つは、学習権をすべての人間の基本的権利と規定していることです。宣言は、「学習権はたんなる経済発展の手段ではない。それは基本的権利の一つとしてとらえられなければならない。学習活動はあらゆる教育活動の中心に位置づけられ、人々を、なりゆきまかせの客体から、自らの歴史をつくる主体にかえていくものである」としています。

 これまでの政府自民党の教育政策は、子どもの基本的権利としての学習権保障よりも、経済政策にそった人づくりを重視し、世界にも例を見ない競争教育を強めるなど、わが国の教育をゆがめてきました。宣言はこうした方向を否定し、学習活動は基本的権利として保障されるべきであり、学習による個々人の発達が、社会を形成し歴史をきりひらく力であることを明記しているのです。

 宣言は、文化的生存権としての教育を受ける権利をうたった日本国憲法の精神とも合致しています。(

 〔2001・5・10(木)〕


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