日本共産党

2001年5月12日(土)「しんぶん赤旗」

 教科書検定基準の近隣諸国条項とは?


 〈問い〉 いま話題の教科書問題に関連して、教科書検定基準の近隣諸国条項というものが出てきますが、どういうものなのですか。(山口・一読者)

 〈答え〉 近隣諸国条項は、文部科学省の社会科教科書にかんする検定基準の一つで、一九八二年に起きた歴史教科書の「侵略・進出」問題を契機に作られたものです。

 八二年、高校・小学校教科書が日本の「中国侵略」を「進出」などと書いていたことが問題となり、内外から批判が起こり、外交問題にも発展しました。同年八月二十六日、当時の宮沢官房長官は談話を発表。「過去において、我が国の行為が韓国・中国を含むアジアの国々の国民に多大の苦痛と損害を与えたことを深く自覚し、このようなことを二度と繰り返してはならないとの反省と決意の上に立って平和国家としての道を歩んで来た」とし、この精神が「我が国の学校教育、教科書の検定にあたっても、当然、尊重されるべきものである」とのべました。

 この談話の具体化として、文部省は、教科書検定基準の中に「近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされていること」という条項を設けました。これが、検定基準の近隣諸国条項です。

 教科書検定制度は、密室で検閲ともいえる審査がされるなど問題の多い制度ですが、日本の侵略戦争と植民地支配を美化した教科書を合格させたことは、政府の国際公約と教科書検定基準にも反しており、政府がみずからの基準に照らしても合格を取り消すのが当然です。(豊)

 〔2001・5・12(土)〕


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