〈問い〉 日本共産党の中小企業政策(昨年十一月発表)に、貸し渋り問題にかかわって、「中小企業へ資金を供給するのは、銀行本来の社会的責任」だという指摘があります。これはどういうことなのですか。(福岡・一読者)
〈答え〉 銀行法は銀行の公共性をうたい、銀行に国民経済の健全な発展に資するために、信用の維持、預金者保護、円滑な資金供給を適切におこなうことを求めています。
今日の日本で、全企業数の九九%を占める中小企業ぬきに「国民経済の健全な発展」は語れません。大企業がリストラ・人減らしを進める中で、雇用でもバランスのとれた経済発展の上でも、中小企業は日本経済の主役です。中小企業に必要な資金を供給することは、銀行法の趣旨からも、また社会的要請からも、銀行が本来果たすべき社会的責任です。
このことは政府も銀行も、建て前では認めています。貸し渋りが問題となった九八年四月の国会で、当時の橋本首相は、「貸し渋りが依然として減少していない。民間金融機関自身に一層責任をはたしてもらう」と答弁。全国銀行協会連合会会長(当時)も、「現下の情勢下では(中小企業向け)貸出の増加は金融機関の使命だ」(九九年一月三十日)と発言しました。個別銀行も昨年三月、資本注入を申請する際、「中小企業の資金調達に資することが経営の基本精神。…中小企業の資金需要に積極的に対応していく」(大和銀行)、「安定的に資金供給を行っていく」(富士銀行)ことを約束し公的資金を受け取りました。
ところが銀行は、貸し渋りを続け、富士・大和・東海など六行が、九九年三月から九月の間に、中小企業向け貸し出しを減らしています。この富士銀行は一兆円、大和銀行は四千億円もの公的資金を受けています。日銀の調査でも、国内銀行の中小企業向け貸し出し残高は、昨年十二月末で前年比八・六%、約二十一兆円も減少しました。
銀行の社会的責任を果たさせるためには、日本共産党の中小企業政策が提起しているように、貸し渋り是正の行政指導を強めるとともに、アメリカの「地域再投資法」にならい、銀行に、地域経済に一定率以上を投融資させる制度を作ることなどが求められています。(ゆ)
〔2000・3・2(木)〕
機能しない場合は、上にあるブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。 |