2000年3月6日(月)「しんぶん赤旗」

 米軍のNLP(夜間離着陸訓練)とは?


 〈問い〉 住民の批判を受けている米軍のNLP(夜間離着陸訓練)とは、どんな訓練なのですか。タッチ・アンド・ゴーの意味もふくめ教えてください。(福島・一読者)

 〈答え〉 NLPとは、夜間、米軍基地の滑走路を、航空母艦の甲板上のわずか百数十メートルの滑走路に見立て、戦闘機等が離陸、着陸を繰り返す訓練で、「Night Landing Practice」の略称です。

 艦載機は、空母に着艦する場合、甲板上に張られた四本のワイヤーロープのどれかに、飛行機後部のフックを引っかけて停止しますが、進入高度などが確実でないと失敗します。その際は、飛行機は脚が甲板に着くか着かないかのうちに急上昇し、ふたたびやり直します。これを「タッチ・アンド・ゴー」といい、夜間におこなうのがNLPです。

 横須賀に近い神奈川県の厚木基地では、戦闘機二〜三機が実施。耳をつんざく「キーン」「ゴー」というごう音をあげ、二〜三分間隔で繰り返します。音は、ビル工事現場を超える一二〇デシベル以上です。

 湾岸戦争時、基地司令官は米軍準機関紙「星条旗」(九一年八月一日付)で、「この訓練は決定的です。砂漠の嵐作戦の中で空母航空団の航空機は三千三百回をこえる出撃に飛び立ちました。…この安全記録には飛行士たちがペルシャ湾に派遣される前に、ここ、厚木でおこなった訓練が貢献しています」と語っています。

 横須賀を母港にする空母を中心とした空母戦闘群は、沖縄の海兵隊と並ぶ世界各地の戦場への殴り込み部隊。NLPや全国各地での超低空飛行など米軍の訓練は、「日本を守る」どころか、アメリカの海外での戦争のための戦闘訓練です。

 米軍は、基地周辺の自治体、住民の「中止を」の声を無視し、日本政府も「安保条約体制の効果的運用」をたてに容認、思いやり予算で加担しています。厚木基地周辺では昨年九月、戦闘機による航空ショーの騒音で周辺の小学校の運動会が中断させられ、今年二月の県立高校の入学試験時には、昼夜の訓練の強行で受験生の勉強が妨害されました。住民無視の訓練をやめさせる早道は、おおもとの空母の横須賀母港返上が必要です。地元自治体も「母港の返上」を国に要求しています。(渡)

 〔2000・3・6(月)〕



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