〈問い〉 日本共産党は、食料自給率を高めるためにWTO協定を改定させることが必要だと主張しています。これは、どういうことなのですか。(鹿児島・一読者)
〈答え〉 問題のWTO協定とは、九五年に発足したWTO(世界貿易機関)農業協定のことです。協定は、一定の輸入規制を認めてきた農産物について、「例外なき関税化」の名で基本的に自由化することを各国に義務づけました。また、日本など食料自給率の極端に低い国にまで一律に輸入規制や国内助成を禁止ないし削減することを迫り、新たに生産に助成や価格保障などをすることを禁止しています。
このように協定は、食料自給率の向上に不可欠な国内生産拡大のための施策の推進を事実上禁止する内容となっており、協定の改定は自給率向上をという国民の要求にこたえる上で重要課題になっています。
日本共産党は、最低限次のような改正を提起するよう求めています。(1)食料自給の根幹をなす米を自由化の対象からはずすなど、実効ある輸入規制ができるようにする(2)各国の生産拡大への助成措置を一律に削減・禁止する条項を削除する(3)規制の対象外になっている環境保全のための施策にアジアモンスーン地帯等での農業生産の維持を加える。
昨年末発表された九八年の日本の食料自給率は四〇%。食料不足が予測される二十一世紀を前に、自給率向上にとりくむ課題は切実です。
WTO農業協定は、アメリカなど農産物輸出国と巨大穀物メジャーなど多国籍企業がその利益を最優先し、気候や地理的条件に制約される農業の特性を無視して、一律に貿易自由化を各国に押しつけたものです。それによって巨大穀物メジャーは、市場確保のためにダンピング輸出をし、輸入国はもとよりアメリカの家族経営農家にも打撃を与えています。二月、都内で開かれた「WTOに関する国際シンポジウム」でも、アメリカ、イタリア、韓国の代表から「WTO協定を改定しないと二十一世紀に食と農と環境は大変になる」との発言が相次ぎました。WTO協定改定の要求と運動は、現実性をもっています。(豊)
〔2000・3・9(木)〕
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