〈問い〉 以前、日本共産党の党大会で「地球的規模の金融投機」の横行とその矛盾についての分析がありましたが、その後の実態はどうなっているのでしょう。(秋田・一読者)
〈答え〉 日本共産党の二十一回党大会(九七年)は、「規制緩和」「グローバル化」のもとで、世界の資本主義が深刻な矛盾に直面していることを指摘し、その現れの一つに「地球的規模の金融投機」の横行の問題をあげました。その矛盾は、その後いっそう大きくなっています。
アメリカによる「規制緩和」「グローバル化」のおしつけの結果、世界では、資金が貿易とは無関係に、投機的利益を求めて国際市場を動きまわるようになりました。世界の一年間の貿易取引額は五兆四千億ドル(九八年)、世界の為替市場で取引される一日の外国為替の額が一兆四千億ドル(九八年四月中の一営業日平均)ですから、その投機的資金の巨大さは、為替市場で取引される一日の額の三〜四日分で一年間の貿易額にたっしてしまうほどです。
最近問題になっているデリバティブ(金融派生商品)の市場の想定元本は五十兆ドルともいわれ、ヘッジファンド(国際的投機集団)や巨大銀行など金融資本が各国の金利、為替相場などの変動を利用して投機的利益を稼ぐ取引も巨額になっています。九七年のアジアの通貨危機も、この投機活動で大量の資金が流出入したことが引き金になって起きたものでした。
世界の経済・金融市場を不安定にさせる投機社会化にたいしては、国際的に規制を求める声が強まっています。九八年のアジア欧州会議首脳会議の特別声明が「投機が誘発する不安定」を問題にし、国際通貨金融制度の改革を強調したことや、ことし一月の七カ国蔵相・中央銀行総裁会議(G7)の共同声明が、発展途上国のたたかいを反映して国際的投機集団への監督・規制を具体化する作業への「期待」を表明したことにも、それが示されています。
党の大会が強調したように、世界的規模での「規制緩和万能」論と国民犠牲の政策の押しつけに反対する国際連帯を発展させる条件が広がっているといえるでしょう。(豊)
〔2000・3・12(日)〕
機能しない場合は、上にあるブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。