〈問い〉 路線バス、タクシー事業の規制緩和のため道路運送法が改正されると聞きます。運賃を含め、住民生活にどんな影響が出るのか、教えてください。(大阪・一読者)
〈答え〉 運輸事業には高い公共性があり、政府は、バス・タクシー事業について、需要と供給を調整して事業者の過当競争を防止したり(免許制度)、利用者間のサービス格差をなくしたり(認可運賃)するなどの規制を加えてきました。
国会で審議中のバス・タクシー事業の規制緩和法案(道路運送事業法及びタクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する法律案)は、事業需要と供給の調整をやめる(免許制から許可制へ)、運賃は「適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えない」範囲で自由に決められる(上限運賃認可制)ことをおもな内容としています。狙いは、安全やサービスよりも、利潤追求を最優先する事業への転換を求めることです。
バス事業者の八五%が赤字といわれるもと、事業への参入・撤退を自由化することは、不採算路線の切り捨てを許し、過疎地のバス路線網が危機に直面することになります。比較的利用者の多い都市部では、新規事業者の参入で既存事業者との間でのダンピング競争に拍車がかかり、運賃に大きな比重を占める人件費の削減競争を生み、輸送の安全やサービスが脅かされます。上限認可運賃は、下限を決めないことから、適正な原価を限りなく下回った運賃でも認可されることになります。
タクシー事業では、運輸省の「九七年度以降の当面の規制緩和措置」で、制限付きながら事業への新規参入が進んでいます。今回の改定で、深刻な供給過剰状態が作りだされることは必至です。慢性的な供給過剰状態が、運転者の労働条件低下と事故の多発化に密接にかかわることは、政府資料でも明らかになっています。タクシー千台当たり事故発生件数は、九八年度八〇・九台と九一年度の一・三倍、運転者の年収は、この間一四%も低下しています。
日本共産党は、バス・タクシー事業を国民生活に密着した安全な輸送機関として拡充・強化する立場から、今回の規制緩和法案に反対しています。(阿)
〔2000・3・18(土)〕
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