2000年3月19日「しんぶん赤旗」

 国債は無制限に発行できるか?


 〈問い〉 国債のふくらみ方は異常なものがあります。戦時中の教訓から戦後、国債は簡単には発行できないしくみがつくられたそうですが、どうなったのですか。(大阪・一読者)

 〈答え〉 ご指摘のように、戦費調達のために大量の国債が発行され、戦後大変なインフレが起きるなどの事態になった反省から、戦後制定された財政法(一九四七年)は、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以(もっ)て、その財源としなければならない」(第四条)として、国債発行を原則として禁止しました。その後一九六四年までは、一般会計の歳出の財源としては国債は発行されてきませんでした。

 ところが政府は、開発優先の「高度成長政策」を進めるために、財政法第四条の「ただし書き」に「公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる」とあるのを利用し、六六年度以降、公共事業費などの財源として国債を発行し始めました(建設国債)。これは、国債発行は例外的にしか認めないという財政法の原則に反するものでした。建設国債は、最初は公共事業費の一部を調達するものでしたが、今では揮発油税など道路特定財源によるものを除けば、国の公共事業費のほとんど全部が建設国債によっています。

 政府はまた、財政法をくぐり抜けて、六五年度には、一年限りの「財政処理の特別措置法」を制定し、不況による税収不足の穴埋めのために国債を認める措置をとりました。七五年度からは、「公債発行特例法」を毎年のように制定して、歳入不足の穴埋めのための国債を発行するようになりました(赤字国債)。赤字国債の償還期限は、最初は十年でしたが、今では六十年償還となり、建設国債と同じになっています。

 公共事業のばらまきをすすめたり、借金返済のために新たに国債を発行したりしたことによって、国債残高は急増し、二〇〇〇年度の発行額は、建設・赤字国債あわせて三十二兆円、年度末の残高(見込み)は三百六十四兆円にもなっています。

 こうした財政のゆがみをただすためにも、国債の発行については、財政法の基本原則に立ち返ることが必要です。(垣)

〔2000・3・19(日)〕



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