2000年3月17日(月)「しんぶん赤旗」

 悪性インフレとは?


 〈問い〉 日本共産党は、財政が破たんしているのにいまの放漫財政を続けると、大増税か、悪性インフレかの破局に直面せざるをえないと小渕政権を批判しています。悪性インフレとは、どういうものですか。(愛知・一読者)

 〈答え〉 インフレ(=インフレーション)とは、通貨の値打ちが下がって、物価が上昇することです。厳密にいえば、銀行券(紙幣)と金の交換(兌換=だかん)が禁止されているもとで、通貨(鋳貨や紙幣など)が流通に必要な量を上回って発行され、通貨一単位の表す価値が減り(減価)、名目上の物価上昇が起きる現象です。

 終戦直後、日本では、物価が戦前の何百倍も上がり、給料や貯金もあっという間に何分の一にも目減りするひどいインフレが起きました。日本銀行調査の消費者物価指数で一九三四〜三六年を一とすると、終戦直後のインフレがおさまる一九五四年は三〇一・八と三百倍になっています。政府はこの時のインフレをとくに悪性インフレと呼んできました。

 このインフレが起きるもとをつくったのは、戦時中に、戦費調達のため政府がどんどん国債を発行し、巨額の借金財政を生み出したことでした。当時、日本銀行は、紙幣を発行できる権限を使って巨額の国債を引き受け、戦後のインフレの下地をつくりました。日銀編集の『日本銀行百年史』も、「戦時中の国債発行は…極めてインフレ的性格の強いものであり、敗戦後爆発するに至った悪性インフレーションの下地を形成した」、国債の日銀引き受けは「本行の長い歴史の中でも、もっとも遺憾な事柄であった」と記しています。

 悪性インフレは、当時の政府の巨額の債務を帳消しにする一方で、国民生活に大きな犠牲と苦しみをあたえました。

 いま、小渕内閣のもとですすむ財政破たんはいよいよ深刻化し、現在の長期債務残高(国・地方合わせて六百四十五兆円、二〇〇〇年度末)の国内総生産(GDP)比は、戦

争末期の一九四三年の水準(一三三%)に匹敵するまでになっています。

 日本共産党が、国を滅ぼす今の放漫財政は一刻も放置できないと警告するのも、こうした財政運営の実態をふまえているからです。(豊)

〔2000・3・27(月)〕



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