〈問い〉 大資産家優遇の税制の問題で、日本共産党は、総合課税を主張しています。どういうことなのですか。(滋賀・一読者)
〈答え〉 所得には、給与所得、事業所得、不動産所得などがあり、これらのすべての合計額に課税することを「総合課税」といいます。総合課税は、累進制の原則(所得の高い人ほど税負担率を高くする)を正しくはたらかせる大前提であり、”総合・累進制”という言葉が示すように、両者は一体となって所得税の公平さを確保する基本原則です。
一方、総合課税の例外として、ある所得を分離して別に定める税率(低率の場合が多い)で課税することを「分離課税」といいます。
問題は、分離課税の対象が、利子、土地や株取引による所得など高額所得者ほど保有比率が高い資産所得になっており、これに低い税率がかけられて、本来税負担が高くてよい高額所得者ほど税負担率が低いという大資産家優遇になっていることです。例えば現在、資産家が株式を売却して得た譲渡益課税は、申告分離課税(年間の利益に地方税含め二六%)か源泉分離課税(損得にかかわらず売却額に一・〇五%課税)の選択制になっています。これを総合課税にした場合、最近累進制が緩和されたとはいえ、地方税も含め五〇%近い課税になりますから、分離課税がいかに大金持ち優遇かわかります。
また利子所得は、庶民の零細貯蓄と金持ちの高額預金を区別せず、一律二〇%の源泉分離課税となっています。さらに土地譲渡所得課税も、どんなにもうけがあっても一律二〇%の分離課税と、これまた大資産家優遇の大きな原因になっています。
かつて政府の税制調査会は、分離課税について「(分離課税などの特例措置は)所得税の本質をゆがめるものであり、累進税の機能を阻害するものと考えざるをえない。…基本的には廃止する方向で対処すべきもの」(一九六八年「長期答申」)と強調しています。
株式等の譲渡益課税などに対する総合課税は、米国、英国など諸外国ですでにおこなっていることです。日本でできない理由はありません。(若)
〔2000・4・8(土)〕
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