2000年4月9日(日)「しんぶん赤旗」
「地域再投資法」の制定とは?
〈問い〉 日本共産党は、中小企業を安定させるために「地域再投資法」を制定すべきだと主張していますが、どんな法律なのですか。(山形、一読者)
〈答え〉 アメリカの「地域再投資法(CRA)」(一九七七年)は、低所得者層などが多く住む地域への金融機関の融資差別をなくすためにつくられた法律で、地域の活性化に効果を発揮しています。
全文六条からなり、銀行など預金を扱う金融機関に対し、低所得者や中小企業を含め、営業地域の資金需要に適切にこたえる責任があることを明らかにし、監督官庁は、CRAの評価基準にそって銀行の合併や支店の開設などの可否を判断します。
CRAは、とくに八九年の法改正で強化され、同法に基づき銀行を監視する機関が置かれ、銀行の取り組みを四段階で格付けして公表することになり、住民運動も活発化します。監督官庁は、合併などの審査の際、厳格に対応し始め、買収が却下されることもおきました。九五年には、貸し出しだけだった評価項目に投資とサービスを加え、中小企業への貸し出しを評価対象とするなど、評価基準が明確になりました。
さらに昨年の金融改革では、金融持株会社が銀行の枠を越えて証券・保険業に進出する際にも、さん下の銀行がすべてCRA評価で「良好」以上の格付けを受けていることが条件になりました。
日本では、銀行同士が統合して、金融持株会社を設立する際に、統合する銀行がどんなに貸し渋りをしても、また、どんなに多くの支店を廃止しても銀行の自由勝手です。しかも、過疎化がどんどん進み、首都圏と他の地方との地域間格差も広がっています。預金額と融資額を比べると、資金が地方から都市部へ集まり、都道府県ごとに大きな格差があります。
日本共産党は、昨年十一月に発表した中小企業政策で、大企業・大銀行の横暴を規制し、中小企業の事業活動を守るルールを確立する問題の一つとして、アメリカにならい、日本版「地域再投資法」―金融機関が地域のニーズにどのように応じているか、具体的な数字を公表し、一定割合の融資を義務づける―を制定すべきことを提案しています。(ゆ)
〔2000・4・9(日)〕
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