2000年4月20日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 著作権保護にかかわってWIPO条約の批准が問題になっています。WIPO条約とは、どんな条約なのですか。(神奈川・一読者)
〈答え〉 WIPO(世界知的所有権機関)とは、著作権や特許、商標などにかかわる権利である「知的所有権」を国際的に管理・運営するため一九七〇年に設立された国連の専門機関の一つです。世界的に知的所有権の保護を促進し、国際条約の加入と各国内法との調和をはかり、文化や産業の発展をはかるのを目的とし、現在百七十一カ国が加盟(九九年四月)しています。
一九九六年十二月、スイスのジュネーブで「WIPO著作権条約」(「著作権に関する世界知的所有権条約」)と「WIPO実演・レコード条約」(「実演家およびレコード制作者の権利に関する条約」)の二つの国際条約が結ばれました。
条約が作成された背景には、インターネットが普及し、デジタル化・ネットワーク化が急速に進み、世界的規模に拡大した状況に対応することが不可欠となり、著作権、著作隣接権の保護の拡大、強化の国際的ルールづくりが求められていたことがありました。
条約の一つである「WIPO著作権条約」に対応した技術的保護手段や権利管理情報の保護など、わが国にとって必要な著作権法の一部改正が九七年以来数次にわたってすすめられています。今国会の参議院の外交・防衛委員会では、この条約の批准にむけた審議がおこなわれ、日本共産党は「著作権の保護を拡大・強化するもの」として批准に賛意を示しました。
しかし、もう一つの条約である「WIPO実演・レコード条約」は、演奏家たちの権利については前進的内容が盛られていますが、映画俳優など実演家の著作権保護については、アメリカが認めない方向を押しつけたため未確立となっています。日本共産党は、今年四月のWIPO著作権等常設委員会にのぞむ日本政府にたいし、映画俳優ら「実演家の著作権保護」を積極的に進めることを強く要望しています。(日)
〔2000・4・20(木)〕
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