2000年4月22日(土)「しんぶん赤旗」

 地球温暖化対策の現状は?


 〈問い〉 地球温暖化の問題で、以前、京都で国際会議が開かれ、温室効果ガスの削減目標などが決められました。その後、日本を含め、とりくみはどうなっているのでしょうか。(東京・一読者)

 〈答え〉 九七年の気候変動枠組み条約締約国会議(京都会議=COP3)は、国連の研究チーム・IPCCの出した科学的な結論―大気中の二酸化炭素(CO)濃度を安定させるには、排出量を九〇年比で五〇〜七〇%削減する必要がある―から見れば不十分ですが、二〇一〇年までに米国七%、日本六%、EU(欧州連合)八%などの削減目標を決めました(京都議定書)。同時に、アメリカの要求で、目標を超えて排出する国が他国から排出権を買い取れるようにするなど、CO削減努力を後退させる「抜け道」もつくられました。

 京都議定書は、日本を含め批准していない国が多いため発効しておらず(発効には五十五カ国の批准が必要)、昨年秋ボンで開かれたCOP5では、二〇〇二年までに発効させる意義が強調されました。アメリカ、日本等の消極性とEUの積極性がきわだった違いとなっています。

 この間、世界のCOの二〇%を排出する米国は、九〇年比で一〇・七%増。日本も、地球温暖化対策推進法などがつくられたものの、国が責任をもって六%削減をすすめる具体的施策と体制がないまま、九七年排出量は九〇年比九・五%増となっています。

 これにたいしEUでは、八%削減に向けた各国の目標を定め(ドイツ二一%、イギリス一二・五%など)、本格的に、石炭から天然ガスへの燃料転換、再生可能エネルギーの利用を促進するための発電と供電の分離・再編などをすすめ、ドイツは一一・九%、イギリスは七・五%減などの成果をあげています。しかし、EU全体ではまだ増加傾向にあるため、EUは、各国の国内対策が急務であることなどを指令の形で決めています。

 今月開かれた主要八カ国環境相会合(環境サミット、大津市)の宣言は、京都議定書の批准・発効を急ぐことを盛り込んだものの、具体策は盛られませんでした。政府と財界に温暖化対策推進を急がせる世論喚起が重要になっています。(光)

〔2000・4・22(土)〕



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