2000年5月7日(日)

 ODAのあり方をどう考える?


 〈問い〉 日本のODAは、日本の大企業が海外で稼ぐという批判があります。日本共産党は、政府のODA政策をどう考えますか。(京都・一読者)

 〈答え〉 ODA(政府開発援助)は、ご指摘のような問題があるために、飢餓・貧困救済などの人道援助に十分な予算が配分されていません。

 日本のODAは、発展途上国の経済基盤づくりに協力するという名目で、ダムや空港などの「公共事業」支援を優先し、このODA事業に日本の企業が参入して大きな利益をあげています。また、日本のODAは、エネルギー、道路、河川開発などを整備することで、日本の大企業の活動を保障しています。九八年のDAC(開発援助委員会=経済大国など二十一カ国)議長報告によれば、日本の経済基盤整備が二国間ODA総額に占める割合は、九六年で四一%。これは、アメリカ八・七%、イギリス一四・五%、DAC平均の二三・一%と比べても異常に突出しています。政府は、この大企業奉仕のODAを「たいへんすばらしいこと」(大島外務省経済協力局長)「民間投資にとり魅力ある事業環境を整備する」(昨年八月の外務省「政府開発援助に関する中期政策」)と誇示するありさまです。

 一方、飢餓・貧困救済など人道援助は劣悪です。国連食糧農業機関(FAO)の「二〇一〇年の世界農業」報告によれば、世界の栄養不足人口(八八〜九〇年)は、七億八千万人、サハラ以南のアフリカ一億八千万人、アジアは五億六千万人です。食糧支援の強化は緊急の地球的課題ですが、日本は、食糧援助規約による最小拠出義務量の三十万トンに毛のはえた程度。九六年度の政府予算額は、百三十三億円、量は三十三万トンでした。日本の食糧援助費は、二国間ODA総額のわずか〇・四%(DAC議長報告)。DAC平均五・一%に比べきわめて劣悪です。四十数カ国にのぼる最貧諸国向け援助も、割合でDAC中十九位。明らかに人道重視とはいえません。

 日本共産党は、ODA政策を抜本的に見直し、飢餓・貧困救済などの人道援助、経済自立貢献を重視することを提案しています。(山)

〔2000・5・7(日)〕



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