2000年5月11日(木)「しんぶん赤旗」 

 大学予算が低いというけれど国際的には?


 〈問い〉 日本の大学予算の水準は、欧米と比べて極端に低いと聞きました。どのような水準なのか、教えてください。(東京・一学生)

 〈答え〉 ご指摘のように、日本の大学予算の水準は欧米と比べて極端に低い水準にあります。この問題でよく使われる指標に、国内総生産(GDP)にたいする高等教育への公財政支出(国や地方自治体などの支出の合計)の割合と、公財政支出全体に占める高等教育にたいする支出の割合がありますが、いずれをみても、日本の低さは明らかです(表参照)。

 大学予算の水準の低さは、さまざまなゆがみを大学にもたらしています。例えば、予算が少ない分、高い学費で穴埋めするため、学費は世界一の高さ。欧米では、学費を基本的に徴収しなかったり(フランス、ドイツなど)、約八割の学生が日本の国立大と比べはるかに低い授業料の州立大学に学んだり(アメリカ)しています。東大の蓮實総長が、卒業式で「国立大学の多くが、すでに二十年来、耐用年数をはるかに過ぎた建物を使用せざるを得ない」と告発した劣悪な教育研究条件も、大学予算の低さによるものです。

 日本共産党が提案する財政のあり方の見直し――毎年公共事業に五十兆円、社会保障に二十兆円という逆立ちした財政を国民のくらし中心に抜本的に改めることは、大学予算の拡充という点からも大事になっています。(ふ)

高等教育費への公財政支出の各国比較(対国内総生産<GDP>比及び一般政府総支出比)

国名 国内総生産に
たいする割合
一般政府総支出
に占める割合
日本

0.5%

1.5%

アメリカ

1.1%

3.3%

イギリス

0.7%

2.7%

フランス

0.9%

1.8%

ドイツ

0.9%

2.1%

カナダ

1.6%

4.8%

オーストラリア

1.2%

3.9%

デンマーク

1.4%

3.3%

イタリア

0.7%

1.4%

オランダ

1.2%

2.9%

スペイン

0.8%

2.2%

オーストリア

0.9%

スウェーデン

1.5%

2.9%

スイス

1.1%

3.2%

『OECD教育インディケータ集』1997年版

〔2000・5・11(木)〕



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