2000年6月22日(木)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 芸術家・芸能人は高額納税者に名を連ねたり、派手な印象ですが、実情はどうなんでしょうか。(埼玉・一読者)
〈答え〉 宇多田ヒカルさんが全国で八十九位の高額納税者になるなど、メディアで売れているごく一部の人が目立っていますが、大多数は一般勤労者よりも低く、不安定な収入のもとで苦闘しています。
演劇や音楽、舞踊、演芸などに携わっている人たちがつくる日本芸能実演家団体協議会(芸団協)が五年ごとにおこなっている生活実態調査の二〇〇〇年版によると、五年前とくらべて、中間所得層の多くが低額層に落ち込み、一部が高額層に移ったという結果が出ています。
世代間・男女間の格差も大きく、二十九歳以下の男性の五〇%、女性にいたっては七〇%が年収二百万円未満という状況です。
「失業」も、十年前が二五・八日、五年前が三三・八日だったものが、今回調査では四三・二日へと、大幅に増えています。
加えて、税金の面でも、一般勤労者では考えられないようなことが存在しています。仕事で出張したとき、実費支給の交通費やホテル代から税金が引かれることはありませんが、芸能界では、それもギャラ(出演料)の一部とみなされて、税金が一〇%天引きされるのです。その分を、少ない収入から補充しないと切符も買えないし、宿もとれません。
こんな不道理なことが三十年以上続いており、関係者は毎年のように見直しを求めていますが、政府は聞く耳を持たない状況です。
また、芸術家、芸能人は、必要経費として、衣装代、楽器代、レッスン料など、他の業種にくらべて特殊な費目が多くありますが、なかなか控除が認められません。
日本共産党は、「しんぶん赤旗」号外で発表した「世界から遅れた文化行政を、文化を大事にする政治へ切りかえよう」で、文化予算を増やして、芸術文化を支える基盤をつよめること、文化分野にふさわしい税制を実現することなどを提唱しています。(常)
〔2000・6・22(木)〕
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