日本の景気対策への国際的批判とは?

2000年 7月 6日 (木)「しんぶん赤旗」


 〈問い〉 日本の景気対策のあり方に国際的批判が出ているそうですが、どんな批判なのですか。(大阪・一読者)

 

 〈答え〉 日本の経済・財政への国際論評のなかで、最近では、国際決済銀行(BIS)の年報(六月五日発表)が、日本の景気対策の問題点を指摘しているのが注目されます。

 年報は、企業のリストラによる雇用不安に加え、政府債務(財政赤字)の増大の結果、将来の税負担や年金改悪への不安が増大し、日本の家計貯蓄率が上昇していることを指摘。消費低迷と個人貯蓄の過剰は、日本経済が直面している「もっとも深刻な構造問題」だとのべています。

 その上で日本の財政刺激策について、「財政刺激の乗数効果(=投資にたいする一定倍の効果)はしだいに弱まってきている」「公共投資事業は、実行回数を重ねるたびに、その限界効率(=一単位の資本投資にたいする予想収益)および効果が薄れてきている」、政府債務を「維持不可能なほどに」増大させていると指摘しています。

 つまり、(1)日本では個人消費の伸び悩みが最大の問題だ(2)企業のリストラや政府財政の悪化が、国民の不安を強めており、政府の経済対策は消費者の信頼を強めるのに役立っていない(3)政府のすすめる景気対策は効果が薄くなる一方で、借金財政はもはや限界に達している、ということです。

 日本共産党は、景気対策では、ゼネコン型公共事業や銀行支援中心でなく、家計を直接温め、応援する政策に切り替え、GDP(国内総生産)の六割を占める個人消費の拡大をはかる必要があると主張。(1)公共事業に五十兆円、社会保障に二十兆円という逆立ちした財政を社会保障と国民の暮らし中心に改める(2)リストラ規制など国民の暮らしと権利を守る当たり前のルールをつくる、という改革を提案してきました。BISの年報の指摘は、これらの提案の切実さを裏づけています。(豊)

〔2000・7・6(木)


機能しない場合は、上にあるブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権:日本共産党中央委員会

〒151−8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4−26−7
TEL:03−3403−6111 FAX:03−5474−8358