2000年 7月 8日 (土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 少子化対策にとりくむことは重要ですが、文明化が進むにつれ、少子化傾向を生むという意見もあります。どう考えたらいいでしょうか。(静岡・一読者)
〈答え〉 一般的に文明化の進行に伴い少子化傾向が生まれることはありますが、日本の場合は、自然のなりゆきでも文明化の進展の結果でもありません。
日本の出生率は、人口を維持する最低水準(二・〇八)を大きく下回る一・三八まで下降。アメリカ(二・〇三)、イギリス(一・七三)、フランス(一・七二)、オーストラリア(一・八二)、デンマーク(一・八二)等と比べても最低の水準です。異常な低下傾向は、七〇年代後半から始まり、八〇年代後半から急激に進んでいます。この期間、男性の長時間・過密労働、夜間労働、単身赴任などの変則労働が強まったこと。女性の社会進出が進む一方、女性にも男性同様の労働形態が広がり、「会社人間」になることが求められたこと。こうして、働くことと子どもを生み育てるという人間としての基本的な営みが両立しにくくさせられてきました。これが、異常な少子化傾向を生み出した最大の要因です。仕事と育児を両立させる施策をとっていたら、出生率は一・九八程度にとどまったという試算もあります(国立社会保障・人口問題研究所)。
北欧では、育児環境の整備、男性にも育児休業を義務づけるなどの施策をとって、八〇年前後に一・六まで下がった出生率を、その後、二・〇程度まで回復させた(スウェーデン)こともあります。また、男女の就業機会が平等な国ほど出生率が高くなることも明らかになっています。
日本共産党は、少子化は日本社会の未来にかかわる大問題であり、その克服に正面からとりくむ必要があると主張。職場の労働条件を全体として改善し、子育て世代の場合、変則・夜間勤務等のないよう育児環境を整えること、男女差別・格差をなくし、女性が働き続けられる社会をつくること、保育体制の拡充、子育てへの負担軽減と支援の充実をはかることなどの施策にとりくむべきことを提案しています。
(豊)〔2000・7・8(土)〕
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