2000年7月15日 (土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 日本共産党は、家族経営を農業の基本的な担い手に位置づけることを主張しています。現実には、稲作などはかなりの経営面積がないと赤字になると思われます。具体的にはどのような対策が必要と考えますか。(秋田・一読者)
〈答え〉 まずご理解をいただきたいのは、「家族経営が基本」という場合、働き手の全員が自家農業に従事する専業農家はもちろん、世帯主またはその家族が他産業で働きながら農業生産をおこなっている兼業農家など多様な家族経営をさしていることです。日本農業の大半を現実に担っているのがこうした家族経営であり、これらの農家が、それぞれの条件に応じて経営を維持し、農村に住み続けられてこそ農業再建の展望があると考えるからです。
小規模な稲作農家が個別に機械などをそろえたのでは割高になり、経営が赤字になるのも確かです。そのため、それを回避したり、農業だけで暮らせるよう、経営面積を拡大する努力もされています。しかし、今日の米価暴落のもとでは、小規模農家だけでなく大規模農家も深刻な経営危機に見舞われています。むしろ、農家所得でみると、稲作依存度の高い専業農家ほど米価暴落による打撃が大きいのが現実です。
ですからいま必要なのは、一定の規模を持つ専業農家は農業で生活が成り立ち、兼業農家も農業と農外の両面から農村で暮らしていける条件を整えることです。そのために、機械の共同利用や作業の受依託などによる経費節減、稲作と他作物を組み合わせた複合経営や地域農業の多面的発展のとりくみへの援助なども大事です。
同時に、こうした努力を生かすためには、輸入自由化や価格保障切り捨てをやめ、米価など主な農産物に生産費を償う価格保障、セーフガード(緊急輸入制限)の発動を含めた農産物の輸入規制をおこなうことがどうしても必要です。また、条件の不利な中山間地の場合には、多くの農家が生産を維持し、暮らしていけるよう直接支払いを国の責任で充実させることも重要です。さらに、農業外の働く場の確保、生活環境の整備なども、数多くの家族経営を存続させ、農村社会を維持する上で欠かせないと考えます。(橋)
〔2000・7・15(土)〕
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