2000年7月24日 (月)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 労働者の無法な首切りをさせないリストラ規制の主張にたいし、企業がリストラをやれなくなれば競争に敗れて倒産し、失業者が出るという意見があります。どう考えたらよいでしょう。
(東京・一読者)
〈答え〉 大企業が進めるリストラは、リストラクチャリング(事業の再構築)という本来の意味からかけ離れ、会社の当面の業績・利益をあげるために、働く人を大幅に減らすことを意味するようになっています。政府が、これを後押ししていることも、世界から見て異常なことです。
リストラしなければ生き残れないと会社はいいます。しかし、大事なことは、個々の会社のレベルで見れば、リストラの推進で当面の利益は上がるように見えても、社会・経済全体から見れば、雇用不安が広がり、雇用と賃金の減少がすすみ、消費が制約され、経済は縮小するという悪循環が生まれることです。これは、企業にとってマイナスの環境をつくることです。この悪循環をなくすには、リストラにかんするルールを法制度化して、企業全体がみんなで守るようにすることが重要です。
現にヨーロッパ諸国では、会社の競争もルールにもとづいておこなわれ、リストラにたいしても、大量解雇や勝手な首切りを規制し、雇用を守るルール(解雇規制法など)がつくられています。
ソニーの会長だった盛田昭夫氏は、労働時間短縮などの改革を一社だけでやろうとしても無理だ、そういうルールがつくれるように日本の経済・社会のシステム全体を変える必要があると発言して話題になりました。政府の側も、リストラは一つの企業にとっては当面の利益になっても、全部の会社がそれをやると「不況運動」をしているのと同じで、「合成の誤謬(ごびゅう)」(与謝野馨通産大臣、当時)になるといい、企業まかせでは経済的に誤った方向にいくことを認めています。
日本共産党は、昨年十一月、雇用危機打開のための緊急提案を発表、リストラ・解雇をおさえ、雇用を守るルールの確立を強く訴えました。先の通常国会には、企業組織再編にともなう労働者保護法、解雇規制法、サービス残業根絶法の三法案を提出するなど、無法なリストラを止めさせるために力をつくしています。(大)
〔2000・7・24(月)〕
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