2000年 8月 5日 (土)「しんぶん赤旗」
〈答え〉 こんどの公共事業の追加支出は、「公共事業の経費に係る予見し難い予算の不足に充てるため」として、昨年度の予算から従来の予備費とは別枠で設けられた「公共事業等予備費」から出されます。ことしは当初予算に五千億円が計上され、七月二十五日、閣議で使用内容が決められました。
もともと予備費は、災害など不測の事態に伴う対策等に充てるため、あらかじめ予算に計上しておくものです。ところが公共事業等予備費は、予備費という名称をつけてはいるものの、年度途中に政府が必要とみなす事業にあてるためにとっておくつかみ金という性格の強いものです。
予算の内容は国会で審議されますが、予備費は政府が支出を決めるだけで執行できます。景気対策等を名目に、五千億円もの金額の使途内容を政府が自由に決めるというのは、国民への公開と予算の国会審議という財政民主主義の点から大きな問題です。実際、公共事業等予備費の配分決定のプロセスは不透明で、先の総選挙中から政府・与党関係者による利益誘導とも受け取られかねない発言がくり返されました。
今回の使途決定では、三宅島・神津島・新島や有珠山などの対策のため留保された二百億円を除く四千八百億円が配分されました。分野別に見ると、一番多いのが整備新幹線や高規格幹線道路などの公共事業で千二百六十六億円、以下、社会保障・教育研究基盤五百四十六億円、有珠山等の緊急防災対策四百九十四億円などとなっています。各項目を再整理して見ると、道路整備費が千二百三十三億円と突出しており、結局、大型公共事業優先が貫かれています。
公共事業等予備費は、このように内容面でも、仕組みの面でも問題のある制度です。使途内容はきちんと予算に計上し、年度途中で必要になったものも、補正予算で措置すべきです。
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