史跡保存と所有者援助の問題をどう見る?

2000年 8月27日 (日)「しんぶん赤旗」


 〈問い〉 私の町にも有名な史跡がありますが、史跡に指定されると家の増築などにいろいろな制限が加わるのに、助成が十分でないので困っているという人がいます。この問題をどう考えますか。(栃木・一読者)

 

 〈答え〉 現在、国指定の重要文化財建造物のうち、個人所有は社寺建築で一四%、民家では八割近くを占めています。指定された建築物の多くは木造で、風雨にさらされ、台風、地震などの影響を直接うけています。また、それらの多くが住居としても利用され、かつ、一般に公開されていることから、人為的な原因による破壊も避けられません。所有者には、文化財保護法により、現状変更の禁止や制限が加えられるなど日常生活にかかわる制限が課せられていますから、その維持管理は、所有者にとって大きな負担です。

 大規模保存修理では、一定額の国庫補助がありますが、入手困難な資材、高度な技術を必要とする工法等で費用がかさみ、規模も大きなものが多いことから、所有者の負担が重くなり、修理の申請を見合わす例も出ています。また、日ごろの維持管理のための庭の整備、畳替え、損耗個所など小規模修理への補助も不十分な上に、相続税、登録免許税などの負担も大変重いものとなっています。

 日本共産党は、この問題で苦労されている方がたの要望をふまえ、「国指定の文化財建造物(民家)等に関する質問主意書」を政府に提出し、文化財保護行政の拡充を要求しました。

 そこでは、(1)大規模保存修理にともなう費用負担を軽減するため、補助金の大幅増額、補助率の引き上げ(2)小規模修理にたいする補助基準の見直し・補助単価引き上げと総額の大幅引き上げ(3)相続税の減免措置について、現行の六〇%控除を改め、減免措置を拡大し、相続登記時の登録免許税の軽減をはかる、などを緊急に実施すべきだと政府に求めています。

 政府側は答弁書で、大規模修理への補助金増額および相続税の減免措置などについて、「拡大は考えていない」と拒否する一方、小規模修理への補助については、「内容、実勢単価等を勘案しつつ、適切な対処」をすると回答しました。日本共産党は関係者の要望の実現をめざし、引き続き努力したいと考えています。(日)

  〔2000・8・27(日)〕


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