公共事業減らすと中小業者の受注が減る?

2000年 8月28日 (月)「しんぶん赤旗」


 〈問い〉 ムダな公共事業をなくすという日本共産党の主張はもっともだが、そうすると中小業者の受注や雇用が減るのではという人がいます。どうなのですか。  (福井・一読者)

 

 〈答え〉 治山・治水の目的を失ったのになおダムをつくる、近くに空港があるのに、実態とかけ離れた過大な需要予測をたてて新たに空港をつくる――こうしたムダな公共事業の多くは、ゼネコン型の大型開発です。こうした大型の公共事業が増えるにつれ、中小企業の受注も雇用も減っているのが現実です。

 八五年度と九八年度を比べると、事業量は大きくのびているのに、資本金五千万円未満の企業への発注は、全体の五五・二%から三六%へと減りました。また、就労者の方は、一二〇・六万人から八五・九万人に減っています(年間三千万円以上の工事を請け負っている建設労働者を対象にしたサンプル調査)。大型工事は、機械化・自動化がすすんでいるため、下請けの仕事や雇用が減少するのです。

 これにたいして日本共産党が主張しているように、大型公共事業を見直す一方で、公共事業の中身を国民の暮らしに直接役立つ生活型・福祉型の事業中心に切り替えるなら、中小企業の受注も雇用も増やすことができます。特別養護老人ホームへの入所待機者四万七千人を解消するための特養ホーム(五十人規模)建設には、約四千億円、プールのない小中学校(六千六百九十九校)のすべてにプールをつくるには、約八千億円かかります。これらの仕事は小規模ですから、十分に地元の中小企業が受注できます。また、大型クレーンや掘削機ばかりで、あまり人手を要しない大型事業と違って、人手が多くかかる仕事ですから、雇用も増えます。

 また、ゼネコン型公共事業を縮小しても、そこで働く人の仕事が一挙に減るわけではありません。段階的に公共事業の改革をすすめていけば、これらの人も、暮らし・福祉型の公共事業に移り、そこで大いに力を発揮することができるでしょう。

(豊)

 〔2000・8・28(月)〕

 

機能しない場合は、上にあるブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権:日本共産党中央委員会

〒151−8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4−26−7
TEL:03−3403−6111 FAX:03−5474−8358