2000年 9月 23日 (土)「しんぶん赤旗」
〈問い〉 沖縄の普天間基地移設が自然にあたえる影響について、国際的にも懸念がもたれています。どんな心配があるのですか。(徳島・一読者)
〈答え〉 日米両政府が沖縄の普天間基地を県内の名護市に移設し、航続距離、輸送力ともパワーアップする新型軍用機オスプレイを配備できる最新鋭基地を建設しようとしていることにたいし、沖縄の自然環境に取り返しのつかない影響をあたえることが懸念されています。
基地建設が予定されている辺野古(へのこ)沿岸域は、魚介類の産卵と成長の場である豊かなサンゴ礁、藻場(もば)が存在しています。沖縄県は、この地域を自然保護区域に指定(九八年)。多様な生態系が維持されている区域として、保護の優先度がもっとも高い地域です。同海域は、国際保護動物のジュゴンが生息する北限になっており、基地が建設されると、ジュゴンの生存が不可能になるのではと懸念されています。
基地予定地に近い「ヤンバル」と呼ばれる沖縄本島北部の森林では、ノグチゲラ、ヤンバルクイナなどここでしか生息していない固有種六十六種をはじめ、千三百種以上の多様な生物が確認されています。米軍は、この地域の訓練場内にヘリパッド(ヘリコプター離着陸訓練場)建設を予定しており、米軍機が「ヤンバル」上空をひんぱんに通過するようになれば、絶滅が危ぐされる種などに深刻な影響を与えることは確実です。
世界最大の民間自然保護団体・世界自然保護基金(WWF)日本委員会は、辺野古沿岸への新基地建設がジュゴンに与える悪影響について意見書を発表しています(九七年)。また、日本、アメリカを含め多くの政府機関、民間団体の参加する国際自然保護連合(IUCN)も、近く開く総会にヤンバルの森とジュゴンの調査・保護を求める勧告案を提案する予定だと報じられています。
新基地建設は、沖縄の貴重な自然を守る上からも絶対に許せません。日本共産党は、沖縄県民が強く求めている米軍普天間基地の返還は、無条件におこなうべきだと主張。県民の苦しみの源になっている基地の縮小・撤去のため力をつくしています。
(龍)
〔2000・9・23(土)〕
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